2型糖尿病入院患者におけるFMDと動脈硬化因子の関連についての検討

「抄録」血管内皮障害が動脈硬化の初期変化と考えられているが, 最近生理的な血流依存性血管拡張反応(FMD)検査が施行可能となり動脈硬化の早期指標として注目されている. 今回2型糖尿病入院患者を対象にFMD検査を施行し, 既知の動脈硬化因子との関連を評価検討した. 対象は1年間に入院した2型糖尿病患者で脱水やうっ血をともなう症例を除いた37名. FMD検査はUNEXEFシリーズIIタイプProを用い入院3日以内にガイドラインに準じて測定. 統計はFMDを従属変数に, 複数の既知の動脈硬化因子を独立変数とした単回帰および重回帰分析を行った. 症例は男性23例, 女性14例. 平均年齢は58.6±1...

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Veröffentlicht in:聖マリアンナ医科大学雑誌 2014-03, Vol.41 (4), p.289-298
Hauptverfasser: 近藤朗彦, 大森慎太郎, 西根亜実, 小林秀俊, 佐々木要輔, 村山桂, 佐治淳子, 新井基央
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」血管内皮障害が動脈硬化の初期変化と考えられているが, 最近生理的な血流依存性血管拡張反応(FMD)検査が施行可能となり動脈硬化の早期指標として注目されている. 今回2型糖尿病入院患者を対象にFMD検査を施行し, 既知の動脈硬化因子との関連を評価検討した. 対象は1年間に入院した2型糖尿病患者で脱水やうっ血をともなう症例を除いた37名. FMD検査はUNEXEFシリーズIIタイプProを用い入院3日以内にガイドラインに準じて測定. 統計はFMDを従属変数に, 複数の既知の動脈硬化因子を独立変数とした単回帰および重回帰分析を行った. 症例は男性23例, 女性14例. 平均年齢は58.6±13.0歳. 平均血圧は124±18mmHg. 空腹時血糖163±47mg/dl, HbA1c 10.8±2.8%, LDL-コレステロール123.2±47.3mg/dl, 尿蛋白173.5±341.7mg/日, 尿アルブミン97.7±272.5mg/日. FMDの平均は4.03±2.75%で81%の症例で低下, 血糖, 脂質代謝異常などの既知の動脈硬化因子と検討したが有意な関連はなかった. 尿蛋白(B=0.004 p=0.0058)と尿アルブミン(B=0.004 p=0.0073)で正の相関を認め, 各動脈硬化因子による重回帰分析による補正を行ったが関連は維持されていた. FMDと腎症病期の関連では女性で正の相関(B=2.867 p=0.0302)を認めた. 腎症早期では尿アルブミンや尿蛋白の増加とともに一時的にFMDが改善する可能性が示唆された. FMDは機能的生理検査にもかかわらず反応の鋭敏さとその可逆性から対象集団の経時的な追跡には最適であり, 動脈硬化の初期においての促進因子の検討や治療効果の検討, 内皮細胞機能障害の抑制因子の判定などへの応用が期待できる.
ISSN:0387-2289