聖マリアンナ医科大学耳鼻咽喉科における喉頭麻痺症例405例の臨床的検討

「抄録」喉頭麻痺はしばしば日常診療で遭遇する疾患であり, その原因は多岐にわたり経過も様々である. 今回我々は, 悪性腫瘍による喉頭麻痺の割合および挿管性麻痺の自然回復率を中心に検討を行った. 対象は10年間に当科を受診した喉頭麻痺症例405例とした. 性別は男性245例(60%), 女性160例(40%)で年齢分布は4歳から96歳におよび, 平均63.2歳であった. 麻痺側は左側261例(64%), 右側104例(26%), 両側40例(10%)であった. 原因別では頸部縦隔疾患が125例(31%), 術後性が118例(29%)を占めた. 頸部縦隔疾患では原発性肺癌および他の悪性腫瘍からの肺...

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Veröffentlicht in:聖マリアンナ医科大学雑誌 2011-05, Vol.39 (1), p.43-49
Hauptverfasser: 春日井滋, 渡辺昭司, 齋藤善光, 向出光博, 赤澤吉弘, 大塚崇志, 及川貴生, 三上公志, 肥塚泉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」喉頭麻痺はしばしば日常診療で遭遇する疾患であり, その原因は多岐にわたり経過も様々である. 今回我々は, 悪性腫瘍による喉頭麻痺の割合および挿管性麻痺の自然回復率を中心に検討を行った. 対象は10年間に当科を受診した喉頭麻痺症例405例とした. 性別は男性245例(60%), 女性160例(40%)で年齢分布は4歳から96歳におよび, 平均63.2歳であった. 麻痺側は左側261例(64%), 右側104例(26%), 両側40例(10%)であった. 原因別では頸部縦隔疾患が125例(31%), 術後性が118例(29%)を占めた. 頸部縦隔疾患では原発性肺癌および他の悪性腫瘍からの肺転移や縦隔リンパ節転移などの肺・縦隔疾患が65例(51%)を占め, 甲状腺癌22例(18%)と続いた. 術後性の内訳は心・血管系手術が63例(54%), 甲状腺腫瘍が31例(27%)を占めた. 当科で喉頭麻痺に対し原因精査を行った症例121例中45例(37%)に悪性腫瘍が発見された. また術後性および挿管性を除いた喉頭麻痺症例236例中109例(46%)が悪性腫瘍によるものであった. 挿管性麻痺と判断した症例のうち3ヶ月以上経過が追跡できた39例中34例(87%)が5ヶ月以内に自然回復を認めた. 喉頭麻痺と遭遇したら悪性腫瘍を念頭に置いた速やかな原因精査が重要である. 挿管性麻痺の場合, 最低5~6ヶ月は外科的治療をせず経過観察が望ましいと考える.
ISSN:0387-2289