症状の増悪に対し多剤併用抗血栓療法が有効であったbranch atheromatous diseaseの1例

「抄録」進行性脳梗塞は急性期脳梗塞の20~40%に認められ, その治療に難渋する場合が多い. 症状の増悪を認めたbranch atheromatous disease (BAD)と思われる穿通枝梗塞にアスピリン, クロピドグレルおよびアルガトロバンによる多剤併用抗血栓療法を試み, 良好な経過を得た症例を経験した. 症例は81歳, 男性. 右手の動かしづらさを主訴として来院, 来院時右不全片麻痺を認め, 頭部magnetic resonance imaging (MRI)では左内包後脚~放線冠に急性期脳梗塞の存在を認めた. 第2病日より症状の増悪・進行を認め, 第4病日には右上肢は完全麻痺となっ...

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Veröffentlicht in:聖マリアンナ医科大学雑誌 2008-10, Vol.36 (5), p.479-485
Hauptverfasser: 高石智, 藤田雄一, 臼杵乃理子, 下出淳子, 高田達郎, 長谷川泰弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」進行性脳梗塞は急性期脳梗塞の20~40%に認められ, その治療に難渋する場合が多い. 症状の増悪を認めたbranch atheromatous disease (BAD)と思われる穿通枝梗塞にアスピリン, クロピドグレルおよびアルガトロバンによる多剤併用抗血栓療法を試み, 良好な経過を得た症例を経験した. 症例は81歳, 男性. 右手の動かしづらさを主訴として来院, 来院時右不全片麻痺を認め, 頭部magnetic resonance imaging (MRI)では左内包後脚~放線冠に急性期脳梗塞の存在を認めた. 第2病日より症状の増悪・進行を認め, 第4病日には右上肢は完全麻痺となった. 入院時5点であったNational institute of health stroke scale (NIHSS)スコアは, 第4病日には9点まで増悪した. 症状の進行に対し, アルガトロバンの持続静注にバイアスピリン, クロピドグレル内服を加えた多剤併用抗血栓療法を開始したところ, 増悪は停止し, その後麻痺は著明に改善し, 退院時にはNIHSSスコア3点, modified Rankin Scaleスコア2点まで回復した. 多剤併用抗血栓療法により良好な転帰を得たBAD症例を経験し, 今後BAD治療法の確立に多剤併用抗血栓療法の検討が有用であることが予測された.
ISSN:0387-2289