頻回のステロイド注射により生じたと考えられた陳旧性左アキレス腱断裂の1例
「抄録」 ステロイド注射を頻回に行うことにより, 腱の変性をきたし断裂を生じることは諸家により報告されている. また, 糖尿病によるアキレス腱炎の発症に関し, Lasergrenらは血管造影を行い, アキレス腱周囲への血流の減少が腱炎, 腱断裂の原因と成り得ると報告している. 今回, 糖尿病に罹患し, 左アキレス腱炎の治療に使用されたステロイド注射が成因として考えられた陳旧性左アキレス腱断裂の1例を経験したので報告する. 症例は58歳の男性. 平成4年頃より糖尿病の治療中であった. 平成11年頃より左アキレス腱部に歩行時痛が持続し, 他院で頻回に腱疼痛部へのステロイド局注が行われた. 平成14...
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Veröffentlicht in: | 聖マリアンナ医科大学雑誌 2005-10, Vol.33 (5), p.467-471 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「抄録」 ステロイド注射を頻回に行うことにより, 腱の変性をきたし断裂を生じることは諸家により報告されている. また, 糖尿病によるアキレス腱炎の発症に関し, Lasergrenらは血管造影を行い, アキレス腱周囲への血流の減少が腱炎, 腱断裂の原因と成り得ると報告している. 今回, 糖尿病に罹患し, 左アキレス腱炎の治療に使用されたステロイド注射が成因として考えられた陳旧性左アキレス腱断裂の1例を経験したので報告する. 症例は58歳の男性. 平成4年頃より糖尿病の治療中であった. 平成11年頃より左アキレス腱部に歩行時痛が持続し, 他院で頻回に腱疼痛部へのステロイド局注が行われた. 平成14年3月頃より, 明らかな外傷なく歩行障害が出現. 同時期に左アキレス腱遠位部に陥凹を触れるようになり, 陳旧性左アキレス腱断裂が疑われたため当院紹介受診となる. 左アキレス腱部は断裂による陥凹を触知し, Tompson testは陽性で, 底屈筋力は低下を認め, 陳旧性左アキレス腱断裂と診断. 歩行困難を自覚してから約3ケ月後手術施行となる. 手術所見では, パラテノンは消失し, 断端部には約3cmの欠損が生じていたため, V-Y法による腓腹筋の延長術を施行した. 病理所見は, 膠原線維に高度の変性が認められた. 術後は6週間のギプス固定を行い, 術後1年, 再断裂なく, 足関節も良好な可動域が得られている. |
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ISSN: | 0387-2289 |