Yersinia enterocolitica (腸炎エルシニア) による菌血症と診断した乳児例

【要旨】 Yersinia enterocoliticaは小児の胃腸炎起因菌の1~3%とされるグラム陰性桿菌である. しかしながら, 細菌培養検査の通常培地では検出されにくいため, 実際の頻度はより高い可能性がある. まれではあるが腸炎症状だけではなく重篤な全身症状を呈したり, 腸重積のような特殊な合併症を呈する場合がある. 今回, 10ヵ月女児が発熱, 嘔吐, 下痢と炎症反応高値を主訴に紹介受診した. 便培養検査・血液培養検査の両方からYersinia enterocoliticaが検出され, エルシニア菌血症と確定診断し, 14日間の抗菌薬治療を実施した. 本症例では脱水や低血糖を示唆する...

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Veröffentlicht in:月刊地域医学 2020-06, Vol.34 (6), p.458-461
Hauptverfasser: 武井陽, 多湖孟祐, 家村綾子, 天野沙織, 玉貫啓太, 岸野愛, 安西有紀, 神山潤, 織田錬太郎, 畠井芳穂, 小野真
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【要旨】 Yersinia enterocoliticaは小児の胃腸炎起因菌の1~3%とされるグラム陰性桿菌である. しかしながら, 細菌培養検査の通常培地では検出されにくいため, 実際の頻度はより高い可能性がある. まれではあるが腸炎症状だけではなく重篤な全身症状を呈したり, 腸重積のような特殊な合併症を呈する場合がある. 今回, 10ヵ月女児が発熱, 嘔吐, 下痢と炎症反応高値を主訴に紹介受診した. 便培養検査・血液培養検査の両方からYersinia enterocoliticaが検出され, エルシニア菌血症と確定診断し, 14日間の抗菌薬治療を実施した. 本症例では脱水や低血糖を示唆する所見がないにもかかわらず全身状態が不良であったことが, 各種培養検査を提出して診断に至る契機となった. エルシニア菌血症と確定診断された症例は非常にまれであり, 乳児の発熱において適切な身体所見の評価と培養検査の重要性を再認識した症例のため報告する.
ISSN:0914-4277