標準治療としてのがん免疫治療と将来展望
1970年代から様々ながん免疫治療が行われてきたが, いずれも臨床効果は不充分であり単独ではがんの標準治療とはなり得なかった. その理由として, 免疫原性の低下や抑制性細胞の誘導など, 腫瘍微小環境における癌の免疫逃避機構の関与が指摘されている. そこで, これまで抗腫瘍免疫応答を増強させることを目的とした免疫治療が開発の中心であったものが, がん免疫逃避機構を阻害することを目的とした新しい免疫治療の開発がなされ, 成功を収めつつある. その代表として, 免疫抑制を解除する免疫チェックポイント阻害薬が確かな臨床効果を示したことで, 免疫治療は改めて放射線療法, 化学療法, 手術療法に次ぐ第4の...
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Veröffentlicht in: | 調査研究ジャーナル 2016-10, Vol.5 (2), p.96-103 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1970年代から様々ながん免疫治療が行われてきたが, いずれも臨床効果は不充分であり単独ではがんの標準治療とはなり得なかった. その理由として, 免疫原性の低下や抑制性細胞の誘導など, 腫瘍微小環境における癌の免疫逃避機構の関与が指摘されている. そこで, これまで抗腫瘍免疫応答を増強させることを目的とした免疫治療が開発の中心であったものが, がん免疫逃避機構を阻害することを目的とした新しい免疫治療の開発がなされ, 成功を収めつつある. その代表として, 免疫抑制を解除する免疫チェックポイント阻害薬が確かな臨床効果を示したことで, 免疫治療は改めて放射線療法, 化学療法, 手術療法に次ぐ第4の治療法として脚光を浴びるようになった. 本稿では, これまでの免疫治療の歴史と標準治療となった免疫チェックポイント阻害剤の現状, 及び今後の免疫治療の展望について概略する. 「1. はじめに」2016年に日本で新たにがんと診断される人は100万人を越え, がんによる死亡者数は37万人以上と予測されている. |
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ISSN: | 2187-2651 |