ビスフェノールA曝露マウスの不安様行動ならびに脳内モノアミン濃度について - 実験結果からみた精神障害のリスクとしてのビスフェノールA
「要旨」 ビスフェノールA(Bisphenol A ; BPA)は世界中で広範に用いられているポリカーボネートなど強化プラスチックや食品, 飲料缶のエポキシ樹脂内面剤に不可欠な原料の一つである. これまでに周産期BPA曝露によって仔マウスの中枢神経系に影響を及ぼすことが数多く報告されているが, 母体の中枢神経系への影響は未解明である. そこで, 我々は周産期BPA曝露による母仔の中枢神経系に対する影響を調べた. 母マウスではBPA曝露により延髄内セロトニン濃度の増加が認められたが, 不安様行動に影響は認められなかった. BPA曝露を受けた雄仔マウスでは背側海馬内ドパミン濃度と延髄内ノルアドレナ...
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Veröffentlicht in: | 調査研究ジャーナル 2014-04, Vol.3 (1), p.9-18 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」 ビスフェノールA(Bisphenol A ; BPA)は世界中で広範に用いられているポリカーボネートなど強化プラスチックや食品, 飲料缶のエポキシ樹脂内面剤に不可欠な原料の一つである. これまでに周産期BPA曝露によって仔マウスの中枢神経系に影響を及ぼすことが数多く報告されているが, 母体の中枢神経系への影響は未解明である. そこで, 我々は周産期BPA曝露による母仔の中枢神経系に対する影響を調べた. 母マウスではBPA曝露により延髄内セロトニン濃度の増加が認められたが, 不安様行動に影響は認められなかった. BPA曝露を受けた雄仔マウスでは背側海馬内ドパミン濃度と延髄内ノルアドレナリン濃度及びドパミン濃度の増加が認められた. さらに, 延髄内ノルアドレナリン/ドパミンの減少も認められた. 今回の結果は, BPAの影響は未成熟動物で大きいことを示すものであった. 本稿では, 我々の結果を基に近年社会問題になりつつある精神障害のリスク因子としてのBPA, ならびにBPAの曝露を軽減させる日常生活における留意点について述べた. |
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ISSN: | 2187-2651 |