心臓悪性腫瘍に対する外科治療の意義:右心系悪性腫瘍5例の検討

心臓腫瘍は稀な疾患であり,悪性であれば予後不良である.発生部位ごとに特異的な合併症を生じ,右心系発生例では腫瘍肺塞栓が致命的となる.外科的介入後も腫瘍自体の予後や生存期間を改善できない症例も存在するが,突然死の予防や心不全の改善から,ADLの向上が得られ自宅退院が期待できる症例もある.転移性腫瘍や肝臓癌・腎臓癌の限局的な進展例は,切除による生存期間の延長・予後改善が見込まれる.今回われわれは人工心肺補助下で外科的介入を行った5例の右心系悪性腫瘍を経験した.そのうち2例は早期に失ったが,3例は比較的長期生存を得られ,自宅退院も可能であった.腫瘍形態によっては術後化学療法が奏功する例もあった.最終...

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Veröffentlicht in:静脈学 2020/05/11, Vol.31(2), pp.57-63
Hauptverfasser: 桐生, 健太郎, 角浜, 孝行, 田中, 郁信, 高木, 大地, 山本, 浩史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:心臓腫瘍は稀な疾患であり,悪性であれば予後不良である.発生部位ごとに特異的な合併症を生じ,右心系発生例では腫瘍肺塞栓が致命的となる.外科的介入後も腫瘍自体の予後や生存期間を改善できない症例も存在するが,突然死の予防や心不全の改善から,ADLの向上が得られ自宅退院が期待できる症例もある.転移性腫瘍や肝臓癌・腎臓癌の限局的な進展例は,切除による生存期間の延長・予後改善が見込まれる.今回われわれは人工心肺補助下で外科的介入を行った5例の右心系悪性腫瘍を経験した.そのうち2例は早期に失ったが,3例は比較的長期生存を得られ,自宅退院も可能であった.腫瘍形態によっては術後化学療法が奏功する例もあった.最終的に全例死亡したが,外科的介入は突然死を予防しかつ診断を行うことで補助療法による生存期間の延長を見込むことができたと考える.また術後早期の肺および肺循環障害はDIC, MOFへ進展させ救命を妨げるリスクであると考える.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.20-8