回復期リハビリテーション病棟における歩行自立判定シートの作成

【目的】本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟入院患者の主疾患である脳血管疾患,整形外科疾患,廃用症候群を対象として,病棟内歩行自立に関わる因子を検討し,歩行自立判定シートを作成することとした。【対象】対象は回復期リハビリテーション病棟入院患者149名とし,このうち訓練事例サンプル(n=60)とテスト事例サンプル(n=89)をそれぞれ設けた。【方法】調査項目は,年齢,転倒歴,認知機能低下の有無,補助具,下肢装具の有無とし,転倒リスク評価項目は,10m歩行時間,片脚立位時間とした。なお,連続変数はカテゴリー化するためにreceiver operating characteristic(RO...

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Veröffentlicht in:日本転倒予防学会誌 2017/03/10, Vol.3(3), pp.27-35
Hauptverfasser: 初瀬川, 弘樹, 山田, 実, 菊井, 将太, 湊, 哲至, 出村, 愰, 中野, 恭一, 木本, 真史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】本研究の目的は,回復期リハビリテーション病棟入院患者の主疾患である脳血管疾患,整形外科疾患,廃用症候群を対象として,病棟内歩行自立に関わる因子を検討し,歩行自立判定シートを作成することとした。【対象】対象は回復期リハビリテーション病棟入院患者149名とし,このうち訓練事例サンプル(n=60)とテスト事例サンプル(n=89)をそれぞれ設けた。【方法】調査項目は,年齢,転倒歴,認知機能低下の有無,補助具,下肢装具の有無とし,転倒リスク評価項目は,10m歩行時間,片脚立位時間とした。なお,連続変数はカテゴリー化するためにreceiver operating characteristic(ROC)曲線によって,10m歩行時間,健側片脚立位時間,患側片脚立位時間それぞれの退院時歩行自立に対するカットポイントを求めた。訓練事例サンプルデータの退院時歩行自立の可否を従属変数に,調査項目を独立変数に投入したロジスティック回帰分析を行い,抽出された項目より歩行自立得点を求め,ROC曲線によって,歩行自立に対するカットポイントを求めた。テスト事例サンプルでも同様にROC曲線によって歩行自立に対するカットポイントを求めた。【結果】転倒リスク評価項目を独立変数とするROC曲線から得られたカットポイントは,10m歩行時間が10秒(感度:64.7%,特異度:69.0%),健側片脚立位時間が3秒(感度:71.4%,特異度:70.6%),患側片脚立位時間が2秒(感度:64.3%,特異度:76.5%)であった。ロジスティック回帰分析の結果,「認知機能低下」,「10m歩行時間が10秒以下」,「健側片脚立位時間が3秒以上」の3項目が,歩行自立と関連する因子として抽出された(p<0.05)。また,訓練事例サンプルを用いたROC曲線から得られた歩行自立得点のカットポイントは1.5(AUC:0.847,感度:64.7%,特異度:83.3%,陽性予測力:78.3%)であり,テスト事例サンプルも同様に1.5(AUC:0.829,感度:95.7%,特異度:62.1%,陽性予測力:69.7%)であった。歩行自立判定シートは,「認知機能低下」,「10m歩行時間が10秒以下」,「健側片脚立位時間が3秒以上」の3項目で構成され,2項目以上の該当によって病棟内歩行自立と判定することが可能となった。【結論】回復期リハビリテーション病棟における歩行自立判定シートは二者択一形式の客観的な指標であり,簡便性・汎用性を備えた有用な評価となり得る。
ISSN:2188-5702
2188-5710
DOI:10.11335/tentouyobou.3.3_27