骨再生と幹細胞

「1. はじめに」 近年, 再生医療に対する関心が高まり, 多方面からのアプローチによる研究で飛躍的な進歩がみられるようになってきた. もともと再生医療とは, 事故や病気によって失われた体の細胞, 組織, 器官の再生や機能の回復を目的とした医療のことを指し, 実際には運動学などを生かしたリハビリテーション, 義肢や人工関節, 人工血管といった人工材料を用いた工学的アプローチ, 皮膚移植や骨髄移植, 臓器移植といった生きた細胞を使った細胞移植などが行われてきた. 1993年, Joseph P.VacantiとRobert S.Langerが, 生分解性ポリマーと細胞培養を組み合わせた「組織工学...

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Veröffentlicht in:Journal of Bio-Integration 2012-08, Vol.2 (1), p.165-170
Hauptverfasser: 黒田真司, 中田秀美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 近年, 再生医療に対する関心が高まり, 多方面からのアプローチによる研究で飛躍的な進歩がみられるようになってきた. もともと再生医療とは, 事故や病気によって失われた体の細胞, 組織, 器官の再生や機能の回復を目的とした医療のことを指し, 実際には運動学などを生かしたリハビリテーション, 義肢や人工関節, 人工血管といった人工材料を用いた工学的アプローチ, 皮膚移植や骨髄移植, 臓器移植といった生きた細胞を使った細胞移植などが行われてきた. 1993年, Joseph P.VacantiとRobert S.Langerが, 生分解性ポリマーと細胞培養を組み合わせた「組織工学(tissue engineering)」という概念をScience誌に発表し, 「胎児期にしか形成されない組織や器官が先天的あるいは後天的に欠損した際の機能回復の方法を研究する新しい医学分野の学問」として確立した1). この「組織工学」は発生生物学, 分子生物学, 材料工学, 遺伝子工学など, 複数の学問が協力して生み出す科学であり, その実践がまさに今日の「再生医療」である.
ISSN:2186-2923