1ピースAQBインプラント失敗症例の分析からみた安全な植立計画の検討

「抄録」 インプラント失敗症例の調査・統計的報告は, さまざまな種類のインプラントを総合した報告は散見されるが, 一人の術者によるある特定のインプラントについての報告は見当たらないようである. 本論文は著者一人が21年間にわたりHA系1ピースのAQBインプラント(R)を682名に2189本植立し, 抜去・脱落に至った59名91本の原因を克明に調査した. その結果, 抜去要因は25要因に分類された. 単一要因によるものは少なく, 複数の要因が関与していることが多いため, 1本の抜去に対して主な2要因を選び計182ポイントとして集計した. 集計で10ポイント以上の主要な要因は, 過重咬合力・食いしばり習癖21ポイント(以後ポイントは省略), 喫煙17, きつ過ぎる植立圧による周囲骨の変性壊死や熱傷13, 強い側方咬合力による脱臼12, 慢性硬化性骨炎様の血行不足の硬い骨質12, 近接する歯周炎, 根尖病巣歯や残根, 残留嚢胞などからの術後感染11であった.