喫煙する母が3歳児に与えるおやつの種類について

育児中の女性の喫煙は, 自身や家族の健康被害にとどまらず, 育児姿勢にも影響しているという報告が先行研究においてなされている. そこで, 幼児期の重要な栄養源であり食育にとっても重要な要素であるおやつに焦点を当て, 喫煙する母が与えるおやつの種類を把握することを目的として調査した. 調査対象は, 2012年度から2016年度に名古屋市内の保健所の3歳児健康診査を受診した児の母で, 日中の保育者が母であると回答した67,822人とした. 分析方法は母を喫煙群(喫煙母)と非喫煙群(非喫煙母)に分類して, 児に与えているおやつの種類(牛乳, アイスクリーム, ヨーグルト, 乳酸飲料, スポーツ飲料, ジュース, 果物, いも, チョコレート, あめ, ケーキ類, スナック菓子, 手作りおやつ)のオッズ比を算出した. 調整オッズ比の算出はMantel-Haenszel法で行った. オッズ比は非喫煙母を基準とした. その結果, 喫煙母である場合, 「チョコレート」, 「スポーツ飲料」, 「あめ」など, いわゆる『ひかえたいおやつ』を与えている割合が高い傾向があり, 特に兄姉がいる児(第二子以上)より第一子の母にその傾向が顕著であった. これらのことから, 喫煙母の健康意識はおやつを通した栄養面の育児姿勢に少なからず関係している可能性が推察された.