男子フィールドホッケー選手における伸張-短縮サイクル運動能力の特性

「I 緒言」フィールドホッケーでは, 休息やジョギングなどの低強度運動を挟みながら直線的なスプリント走や多方向への素早い方向転換走などのフットワーク運動が多く行われており, これらの運動を高水準で遂行できることが, ゲームの勝敗(競技力)に極めて重要であると考えられる. このような全力での移動運動における下肢筋腱複合体の働きに注目すると, 接地とともに筋腱複合体は伸張され, その後急速に短縮する伸張 - 短縮サイクル(SSC: Stretch-Shortening Cycle)運動が生じていることが推察できる. SSC運動は, 伸張反射や弾性エネルギーの貯蔵と再利用などの機序によって短時間に大きな力発揮が可能となり, 素早い運動の遂行に大きく貢献していることが明らかにされている. したがって, 各種フットワーク運動が繰り返されるフィールドホッケーにおいても, SSC運動の能力は競技力へ影響する1要因であることが推察できる.