戦後剣道の中段の構えに対する打突部位の変遷とその要因:しない競技から学校剣道への移行過程に着目して

「1. 問題の所在」剣道における右手前中段の構え(以下, 中段の構えと略す)は, 「すべての構えの基礎となる構えで, 攻防の変化に応じるのにもっとも都合のよい構え方」(全日本剣道連盟編, 2008)であるとされている. それ故, 「現代の剣道ではこの構え方が最も多く用いられている」(全日本剣道連盟編, 2008)のであるが, その構えに対する打突部位は, 現行の剣道で採用されている全日本剣道連盟(以下, 全剣連と略す)制定の競技規則によると, 面部(正面, こめかみ部以上の左右面), 小手部(右小手), 胴部(右胴, 左胴), 突部(突き垂れ)に分類されている(全日本剣道連盟編, 2007,...

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Veröffentlicht in:体育学研究 2012, Vol.57(2), pp.527-543
1. Verfasser: 矢野, 裕介
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 問題の所在」剣道における右手前中段の構え(以下, 中段の構えと略す)は, 「すべての構えの基礎となる構えで, 攻防の変化に応じるのにもっとも都合のよい構え方」(全日本剣道連盟編, 2008)であるとされている. それ故, 「現代の剣道ではこの構え方が最も多く用いられている」(全日本剣道連盟編, 2008)のであるが, その構えに対する打突部位は, 現行の剣道で採用されている全日本剣道連盟(以下, 全剣連と略す)制定の競技規則によると, 面部(正面, こめかみ部以上の左右面), 小手部(右小手), 胴部(右胴, 左胴), 突部(突き垂れ)に分類されている(全日本剣道連盟編, 2007, 図1参照). 長尾進(2010)によれば, これら中段の構えに対する打突部位は, 1927年に大日本武徳会によって制定された「大日本武徳會劍道試合審判規程」注1)以来, それほど変わっていないという. しかしながらこの規程が施行されて以降, 中段の構えに対して「左小手が右小手と並列して打突部位に指定」(中村, 1994)されていた時期があったことを見過ごしてはならない.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.11088