『御射古風帖』(1791─1792) にみる18世紀末の朝鮮弓術:弓術種目と弓具に着目して

「1. はじめに」韓国では古くから, 日本の得意とする武術は剣術で, 韓国の得意とする武術は弓術であると言われてきた. たとえば, 『朝鮮王朝実録 宣祖実録』には「日本は刀が, 朝鮮は弓馬が得意技である」(宣祖, 1592)とか「朝鮮の武士はもっぱら弓術にのみ熱中していた」(宣祖, 1594)という記述がある. また, 『武芸図譜通志』にも「朝鮮の練兵は弓矢一技に止まり, 剣や槍などの技は聞いたことがない」(李徳懋ほか, 1790)と書かれている. このことは, 朝鮮時代(1392-1910)の武士の登竜門であった当時の武科試験(1408-1894)や大射礼などの宮廷行事や軍事訓練などにも見ら...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:体育学研究 2012, Vol.57(2), pp.501-513
1. Verfasser: 李, 燦雨
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」韓国では古くから, 日本の得意とする武術は剣術で, 韓国の得意とする武術は弓術であると言われてきた. たとえば, 『朝鮮王朝実録 宣祖実録』には「日本は刀が, 朝鮮は弓馬が得意技である」(宣祖, 1592)とか「朝鮮の武士はもっぱら弓術にのみ熱中していた」(宣祖, 1594)という記述がある. また, 『武芸図譜通志』にも「朝鮮の練兵は弓矢一技に止まり, 剣や槍などの技は聞いたことがない」(李徳懋ほか, 1790)と書かれている. このことは, 朝鮮時代(1392-1910)の武士の登竜門であった当時の武科試験(1408-1894)や大射礼などの宮廷行事や軍事訓練などにも見られ, 多様な弓術やそれに伴う弓矢と的などが確認できる(崔恒ほか, 1485;徐榮輔・沈象奎, 1808;趙斗淳ほか, 1865). しかし, 開港(1876年)を起点として開化期注1)を迎えた朝鮮の弓術は, 西洋文物の導入や武科試験廃止(1894年)により急激に衰退した(黄鶴亭百年史編纂委員会, 2001, p.28).
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.12016