味センサーの多機能性と味シグナルの口腔脳腸連関による食調節

味覚は,体が必要とする栄養素を過不足なく摂り,健康を維持するうえで不可欠な感覚である.生物は,体内の糖や塩分が不足すると,甘味・塩味の情報を手掛かりに探し出し摂取する.逆に苦味や強い酸味物質は有害物として忌避する.味情報が,快・不快の情動,咀嚼,唾液・消化液・ホルモンの分泌を介して食行動・栄養吸収を調節し,生体恒常性が維持されている.近年,筆者らは,甘味受容体が消化管・膵臓・食欲中枢にも発現し,口腔脳腸が味情報・内分泌系で連携しエネルギー調節に寄与することを見出した.本稿では,その味シグナルの食の調節系や生体防御系における新しい機能を含め,味センサーの多臓器発現・多機能性研究の新知見を紹介する...

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Veröffentlicht in:口腔・咽頭科 2018, Vol.31(1), pp.7-13
1. Verfasser: 二ノ宮, 裕三
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:味覚は,体が必要とする栄養素を過不足なく摂り,健康を維持するうえで不可欠な感覚である.生物は,体内の糖や塩分が不足すると,甘味・塩味の情報を手掛かりに探し出し摂取する.逆に苦味や強い酸味物質は有害物として忌避する.味情報が,快・不快の情動,咀嚼,唾液・消化液・ホルモンの分泌を介して食行動・栄養吸収を調節し,生体恒常性が維持されている.近年,筆者らは,甘味受容体が消化管・膵臓・食欲中枢にも発現し,口腔脳腸が味情報・内分泌系で連携しエネルギー調節に寄与することを見出した.本稿では,その味シグナルの食の調節系や生体防御系における新しい機能を含め,味センサーの多臓器発現・多機能性研究の新知見を紹介する.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.31.7