耳下腺腫瘍術後に発症した耳下腺放線菌症の1例

近年, 放線菌症は抗菌薬の普及により, 稀な疾患となっている. 放線菌症は頭頸部領域に好発するが, 耳下腺原発は非常に稀である. 今回耳下腺腫瘍術後に発症した耳下腺放線菌症を経験した. 症例は56歳の男性で, 左ワルチン腫瘍に対して耳下腺浅葉部分切除術を施行. その1ヵ月半後, 左耳下腺部にびまん性で硬い腫瘤を認めた. 同部は境界不明瞭で, 板状硬結, 皮膚表面は紫紅色を呈した. 放線菌症と診断後, 1ヵ月半ペニシリン系抗菌剤 (SBT/ABPC: 12g/日) を点滴投与, 以後は経口ペニシリン (AMPC 1,500mg/日) を9ヵ月間投与し保存的に軽快した. 治療後7ヵ月経過した現在再...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:口腔・咽頭科 2015/06/10, Vol.28(2), pp.225-230
Hauptverfasser: 永田, 基樹, 髙安, 幸恵, 友田, 幸一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:近年, 放線菌症は抗菌薬の普及により, 稀な疾患となっている. 放線菌症は頭頸部領域に好発するが, 耳下腺原発は非常に稀である. 今回耳下腺腫瘍術後に発症した耳下腺放線菌症を経験した. 症例は56歳の男性で, 左ワルチン腫瘍に対して耳下腺浅葉部分切除術を施行. その1ヵ月半後, 左耳下腺部にびまん性で硬い腫瘤を認めた. 同部は境界不明瞭で, 板状硬結, 皮膚表面は紫紅色を呈した. 放線菌症と診断後, 1ヵ月半ペニシリン系抗菌剤 (SBT/ABPC: 12g/日) を点滴投与, 以後は経口ペニシリン (AMPC 1,500mg/日) を9ヵ月間投与し保存的に軽快した. 治療後7ヵ月経過した現在再燃を認めていない. 感染経路として, 歯周囲に存在した放線菌がステノン管を通じ耳下腺内に侵入, 耳下腺手術を契機に放線菌症が発症したものと考える. 糖尿病は本症の発症, 増悪を助長したものと推察する.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.28.225