眠気の日内変動モデル――ウルトラディアン振動体と概日振動体

眠気の日内変動には,起床6から8時間後に高まる眠気(午後の眠気)と夜間就寝前にむけて高まる眠気(夜間の眠気)が存在する。夜間の眠気は,脳内の生物時計中枢の制御を受ける深部体温の概日リズムに起因する。一方,午後の眠気の発生機序については不明である。本研究では,眠気に関わる生理的要因として末梢皮膚温,深部体温,自律神経活動に注目し,眠気と生理的要因との関係性を明らかにすることを目的とした。その結果,5名中4名の実験参加者において,起床3時間後以降に2から5時間毎の眠気の変動が観察された。起床後0―2時間および就寝時刻付近の眠気は深部体温,皮膚温,自律神経活動と有意な相関が認められた。一方,午後の眠...

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Veröffentlicht in:生理心理学と精神生理学 2021/04/30, Vol.39(1), pp.79-93
Hauptverfasser: 田村, 聖, 松浦, 倫子, 北村, 航輝, 山仲, 勇二郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:眠気の日内変動には,起床6から8時間後に高まる眠気(午後の眠気)と夜間就寝前にむけて高まる眠気(夜間の眠気)が存在する。夜間の眠気は,脳内の生物時計中枢の制御を受ける深部体温の概日リズムに起因する。一方,午後の眠気の発生機序については不明である。本研究では,眠気に関わる生理的要因として末梢皮膚温,深部体温,自律神経活動に注目し,眠気と生理的要因との関係性を明らかにすることを目的とした。その結果,5名中4名の実験参加者において,起床3時間後以降に2から5時間毎の眠気の変動が観察された。起床後0―2時間および就寝時刻付近の眠気は深部体温,皮膚温,自律神経活動と有意な相関が認められた。一方,午後の眠気については個人差が大きく,体温,自律神経活動と一貫した相関関係は認められなかった。これらの結果から,眠気の日内変動に存在するウルトラディアンリズムは体温と自律神経活動の概日リズムに依存しないが,起床後および就寝前の眠気は,主に概日リズムを発振する生物時計中枢の制御を受けることが推測された。
ISSN:0289-2405
2185-551X
DOI:10.5674/jjppp.2110si