MMN反応に反映された聴覚の逸脱検出過程の柔軟性

我々は, 聴覚の前注意的な逸脱検出過程を調べるため, 標準刺激と逸脱刺激からなる刺激系列を呈示して事象関連電位を記録し, MMNを抽出した。実験1では, 標準刺激は定常音 (170ms), 2つの逸脱刺激はgap (70ms) によって分けられた2つの定常音 (50ms), または単一の定常音 (50ms) であった。実験2では, 標準刺激と逸脱刺激の刺激役割が反転され, 標準刺激はgapによって分けられた2つの定常音, 2つの逸脱刺激は170msか50msの定常音のどちらかであった。実験2で得られたMMN潜時は実験1のものよりも長く, この結果は, 刺激の繰り返し呈示によって厳密な記憶痕跡が...

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Veröffentlicht in:生理心理学と精神生理学 2007/12/31, Vol.25(3), pp.227-235
Hauptverfasser: 江崎, 浩明, 加藤, 健二, 櫻井, 研三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:我々は, 聴覚の前注意的な逸脱検出過程を調べるため, 標準刺激と逸脱刺激からなる刺激系列を呈示して事象関連電位を記録し, MMNを抽出した。実験1では, 標準刺激は定常音 (170ms), 2つの逸脱刺激はgap (70ms) によって分けられた2つの定常音 (50ms), または単一の定常音 (50ms) であった。実験2では, 標準刺激と逸脱刺激の刺激役割が反転され, 標準刺激はgapによって分けられた2つの定常音, 2つの逸脱刺激は170msか50msの定常音のどちらかであった。実験2で得られたMMN潜時は実験1のものよりも長く, この結果は, 刺激の繰り返し呈示によって厳密な記憶痕跡が形成されるとするこれまでの説明とは一致しなかった。さらに, 逸脱刺激の後半部分における標準刺激との差異はMMNに反映されなかった。これらの結果は、時間統合窓が従来仮定されていた持続時間よりも短いことを示すだけでなく, 逸脱検出における複数の方略の存在を示唆する。
ISSN:0289-2405
2185-551X
DOI:10.5674/jjppp1983.25.227