福祉国家・国民皆保険・移民 - 無保険現象の政治行政学的考察

国民皆保険という人口に膾炙した呼称とは裏腹に, 日本の公的健康保険制度における「国民」や「皆」が指し示す内容は実のところ曖昧である. 現行法令上, 日本国籍者であっても被保険者にならない場合もあれば, 外国籍者であっても被保険者となる場合も存在する. 「国民」であれば「皆」が保険診療を受けられ, 「国民」以外の者が受けられなくても仕方ないという立場は, 実は自明ではない. 本報告では, 外国籍者の一部が日本において保険診療を受けられない問題を取り扱った. 本報告は, これを無保険「者」の問題として本人の地位や資格に原因を帰する視角をとらず, むしろ無保険「現象」として考察することにより, それ...

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Veröffentlicht in:国際保健医療 2024, Vol.39 (2), p.43-45
1. Verfasser: 島田裕平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:国民皆保険という人口に膾炙した呼称とは裏腹に, 日本の公的健康保険制度における「国民」や「皆」が指し示す内容は実のところ曖昧である. 現行法令上, 日本国籍者であっても被保険者にならない場合もあれば, 外国籍者であっても被保険者となる場合も存在する. 「国民」であれば「皆」が保険診療を受けられ, 「国民」以外の者が受けられなくても仕方ないという立場は, 実は自明ではない. 本報告では, 外国籍者の一部が日本において保険診療を受けられない問題を取り扱った. 本報告は, これを無保険「者」の問題として本人の地位や資格に原因を帰する視角をとらず, むしろ無保険「現象」として考察することにより, それを生み出した政治行政の影響に着目した. 代表的な制度として健康保険法と国民健康保険法を検討した.
ISSN:0917-6543