地区組織活動の効果に関する研究 —ベトナム農村部における愛育班活動による妊婦への影響

目的 日本で地区組織活動の長い歴史を持つ愛育班活動をモデルとした活動がベトナムゲアン省で2002年から行われている。ベトナムゲアン省の愛育班活動において、その活動が受益者である妊婦にどのような影響を及ぼしているか、非活動地域と比較し、活動の影響と効果を明らかにする。 方法 ベトナムゲアン省で愛育班活動地域と非活動地域それぞれ3村、合計6村において妊娠週数16週以上の妊婦を対象に構造化された質問紙を自己記入式で行い、得られた結果を横断的に分析した。基本属性において有意差がみられた項目は、結果に影響を及ぼすか検討し、影響があると判断された項目について、層別に分析した。また同時に各村の助産師に妊婦に...

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Veröffentlicht in:国際保健医療 2012/12/20, Vol.27(4), pp.349-362
Hauptverfasser: 南島, 多麻美, 北池, 正, 緒方, 泰子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:目的 日本で地区組織活動の長い歴史を持つ愛育班活動をモデルとした活動がベトナムゲアン省で2002年から行われている。ベトナムゲアン省の愛育班活動において、その活動が受益者である妊婦にどのような影響を及ぼしているか、非活動地域と比較し、活動の影響と効果を明らかにする。 方法 ベトナムゲアン省で愛育班活動地域と非活動地域それぞれ3村、合計6村において妊娠週数16週以上の妊婦を対象に構造化された質問紙を自己記入式で行い、得られた結果を横断的に分析した。基本属性において有意差がみられた項目は、結果に影響を及ぼすか検討し、影響があると判断された項目について、層別に分析した。また同時に各村の助産師に妊婦に対する健康支援活動についてインタビューを行い、その結果を考察で引用した。 結果 非活動地域に比べて、活動地域の妊婦のほうが、妊娠期の健康に関する知識を獲得し、妊婦健診の受診など保健行動を行い、家族からの支援をより受けていた。また活動地域の妊婦のほうが相談相手や情報源として助産師を選んでおり、村のヘルスセンターに近い地域においては、心配事も助産師に相談することで解消していた。ソーシャルサポートについても活動地域の妊婦のほうが愛育班員によってさらなるサポートを獲得していた。助産師へのインタビュー結果は妊婦に対する指導内容に大きな違いはなかったが、啓発活動は活動地域のほうが活発である傾向がみられた。 考察 得られた結果を愛育班員の直接的な支援と間接的な支援による効果に分けて考察をした。愛育班員の妊婦への直接的な支援は妊婦の妊娠期の健康に関する知識をより獲得させ、保健行動を強化させていることが考えられた。間接的な支援は愛育班員が家族に働きかけることで、家族の支援により妊婦が保健行動を実践できる環境が形成されていることが考えられた。また愛育班員が助産師と協働することで、愛育班員は妊婦と助産師のパイプ役となりその信頼関係の構築に寄与していることが考えられた。活動地域において助産師の啓発活動が活性化されている傾向も愛育班との協働が影響していると考えられた。
ISSN:0917-6543
DOI:10.11197/jaih.27.349