高度救命救急センターの病床環境・労働環境における照度の現状

「要旨」【目的】高度救命救急センターに搬送される患者は年々増加し, 昼夜を問わず入院している. 重症病態を有する患者の集中治療後症候群(PICS)が患者の予後を左右することが報告され, 光環境の調整は予防対策の一つとなっている. また医療者の労働安全衛生からも光環境の調整は重要であるが, 救命救急センターの光環境の実態については明らかでないため, 高度救命救急センターの病床環境・労働環境における照度の現状を明らかにする. 【方法】2020年12月から2021年1月に高度救命救急センター内の(1)個室(LED), (2)オープンフロア(non-LED), (3)個室(non-LED), (4)初...

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Veröffentlicht in:日本救急医学会中部地方会誌 2022, Vol.18, pp.5-9
Hauptverfasser: 遠藤, みどり, 高取, 充祥, 渡辺, かづみ, 井川, 由貴, 山本, 奈央, 酒井, 愛, 小林, 大祐, 上川, 智彦, 岩瀬, 史明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:「要旨」【目的】高度救命救急センターに搬送される患者は年々増加し, 昼夜を問わず入院している. 重症病態を有する患者の集中治療後症候群(PICS)が患者の予後を左右することが報告され, 光環境の調整は予防対策の一つとなっている. また医療者の労働安全衛生からも光環境の調整は重要であるが, 救命救急センターの光環境の実態については明らかでないため, 高度救命救急センターの病床環境・労働環境における照度の現状を明らかにする. 【方法】2020年12月から2021年1月に高度救命救急センター内の(1)個室(LED), (2)オープンフロア(non-LED), (3)個室(non-LED), (4)初療室(non-LED), (5)ナースステーション(non-LED), において, 日中(ブラインド開・閉), 消灯前, 消灯後にLED分光放射測定器(CL-500A)を用いて一時的照度を別日に5回測定し, 場所と時間ごとの照度を明らかにした. (1)個室(LED), (2)オープンフロア(non-LED), (3)個室(non-LED)の病床環境においては, 天井高2,600mmの場所で, 患者の頭部が位置する床高900mmにて測定した. 労働環境においては, (4)初療室は床高900mm, (5)ナースステーションは作業を行う手元の位置(床高800mm)にて測定した. 【結果】日中(ブラインド開)における最高値は個室(LED)で1,211 lxであり, 最低値は個室(non-LED)で213 lxであった. 消灯前における最高値は個室(LED)で1,192 lx, 最低値は個室(non-LED)で63 lxであった. 消灯後における最高値はオープンフロア(non-LED)で5.9 lxであり, 最低値は個室(LED)で0.35 lxであった. 初療室では照明点灯時は523 lxであり, ナースステーション(non-LED)では日中は695 lx, 消灯前は810 lx, 消灯後は207 lxであった. 【考察】高度救命救急センターの病床環境において, 消灯後の照度は急性重症患者にとってメラトニンの分泌を増やし睡眠促進に繋がる50 lx以下の環境が保持されていたが, 一日を通した連続測定の必要性が示唆された. 労働環境においては, 日中はJIS照明基準の範囲内であるが, 消灯後は精密な作業時の環境は確保できていなかった.
ISSN:1880-3547
2435-5267
DOI:10.34455/chubujacutemed.18.0_5