日本における小児重症心不全患者の病院間搬送:単施設経験の検討

背景:改正臓器移植法施行後,全国から小児重症心不全患者の相談が増加するのに伴い,ハイリスク患者の病院間搬送も重要な課題となっている.方法:2010年7月~2018年12月に重症心不全のため病院間搬送となった42症例を対象とした.患者背景,搬送形態,搬送後補助人工心臓(VAD)装着状況,予後を調査し,病院間搬送に伴う課題を検討した.結果:原疾患は,拡張型心筋症25例,拘束型心筋症12例,急性心筋炎5例であり,搬送形態は,陸路26例,空路16例であった.人工呼吸管理22例(52.3%),補助循環装着14例(33.3%)と集中治療継続下の搬送が多く,搬送直後に治療強化を要する例が8例あり,より低年齢...

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Veröffentlicht in:日本小児循環器学会雑誌 2020/03/01, Vol.36(1), pp.57-64
Hauptverfasser: 成田, 淳, 小垣, 滋豊, 石井, 良, 石田, 秀和, 上野, 高義, 澤, 芳樹, 大薗, 恵一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:改正臓器移植法施行後,全国から小児重症心不全患者の相談が増加するのに伴い,ハイリスク患者の病院間搬送も重要な課題となっている.方法:2010年7月~2018年12月に重症心不全のため病院間搬送となった42症例を対象とした.患者背景,搬送形態,搬送後補助人工心臓(VAD)装着状況,予後を調査し,病院間搬送に伴う課題を検討した.結果:原疾患は,拡張型心筋症25例,拘束型心筋症12例,急性心筋炎5例であり,搬送形態は,陸路26例,空路16例であった.人工呼吸管理22例(52.3%),補助循環装着14例(33.3%)と集中治療継続下の搬送が多く,搬送直後に治療強化を要する例が8例あり,より低年齢の症例で必要となる傾向にあった.最終的に8割以上がVAD装着となり,10例が心臓移植に到達,死亡例は11例であった.結語:小児重症心不全患者の病院間搬送には,早期からの情報共有と状況に応じた搬送計画が重要であり,人員の確保と経験を要する特殊な領域である.同時に中枢ルート確保時の留意や家族ケアにも配慮が必要であり,よりよい病院間搬送の体制づくりが望まれる.
ISSN:0911-1794
2187-2988
DOI:10.9794/jspccs.36.57