肺動静脈瘻を伴う遺伝性毛細血管拡張症の新規遺伝子変異1女児例

症例は12歳女児.幼児期より鼻出血を繰り返し,母と母方祖父も鼻出血が多い.数年前から運動時の呼吸苦を認めており,近医で多血症を指摘されて精査目的に紹介受診した.左背部に連続性雑音を聴取し,胸部単純X線写真で左下肺野に結節影を認めたことから造影CT検査を施行し,左S1と左S9に異常血管病変を確認した.診断基準に基づき,遺伝性出血性毛細血管拡張症に伴う肺動静脈瘻と診断した.左S9の肺動静脈瘻に対してカテーテル塞栓術の適応と考え,コイル塞栓術を行い,完全閉塞に成功した.術後,運動時の呼吸苦は消失した.本人と母に施行した遺伝子解析の結果,endoglin(ENG)遺伝子に新規遺伝子変異IVS2-1G>...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本小児循環器学会雑誌 2016/05/01, Vol.32(3), pp.244-249
Hauptverfasser: 池川, 健, 鉾碕, 竜範, 若宮, 卓也, 咲間, 裕之, 中野, 裕介, 森崎, 裕子, 山田, 修, 上田, 秀明, 岩本, 眞理
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は12歳女児.幼児期より鼻出血を繰り返し,母と母方祖父も鼻出血が多い.数年前から運動時の呼吸苦を認めており,近医で多血症を指摘されて精査目的に紹介受診した.左背部に連続性雑音を聴取し,胸部単純X線写真で左下肺野に結節影を認めたことから造影CT検査を施行し,左S1と左S9に異常血管病変を確認した.診断基準に基づき,遺伝性出血性毛細血管拡張症に伴う肺動静脈瘻と診断した.左S9の肺動静脈瘻に対してカテーテル塞栓術の適応と考え,コイル塞栓術を行い,完全閉塞に成功した.術後,運動時の呼吸苦は消失した.本人と母に施行した遺伝子解析の結果,endoglin(ENG)遺伝子に新規遺伝子変異IVS2-1G>C(c.220-1G>C)が同定され,本変異がHHT発症の原因遺伝子変異である可能性が示唆された.遺伝子変異と疾患関連性について今後の症例の蓄積が必要である.
ISSN:0911-1794
2187-2988
DOI:10.9794/jspccs.32.244