先天性心疾患に対して手術介入を行った18トリソミーの検討

背景:18トリソミーでは先天性心疾患を高率に合併するが,その生命予後から従来は積極的な治療は行われてこなかった. 目的:先天性心疾患に対して手術介入を行った18トリソミーにおいて,心不全症状の改善や在宅移行への効果および予後を検証すること. 対象と方法:対象は1994年から2012年までに当院で治療した18トリソミー46例.このうち,先天性心疾患に対して手術介入を行ったのは16例で,14例はNICU入院中に在宅移行を目的に姑息術を行い(A群),2例は手術介入で退院後,心内修復術を行った(B群).手術介入を行わなかったのは30例(C群).A群,B群の心疾患の内訳,手術術式や成績,在宅移行率,退院...

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Veröffentlicht in:日本小児循環器学会雑誌 2015/09/01, Vol.31(5), pp.254-264
Hauptverfasser: 江原, 英治, 村上, 洋介, 中村, 香絵, 佐々木, 赳, 藤野, 光洋, 川崎, 有希, 吉田, 修一朗, 吉田, 葉子, 鈴木, 嗣敏, 渡邊, 卓次, 荒木, 幹太, 石丸, 和彦, 西垣, 恭一, 市場, 博幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:18トリソミーでは先天性心疾患を高率に合併するが,その生命予後から従来は積極的な治療は行われてこなかった. 目的:先天性心疾患に対して手術介入を行った18トリソミーにおいて,心不全症状の改善や在宅移行への効果および予後を検証すること. 対象と方法:対象は1994年から2012年までに当院で治療した18トリソミー46例.このうち,先天性心疾患に対して手術介入を行ったのは16例で,14例はNICU入院中に在宅移行を目的に姑息術を行い(A群),2例は手術介入で退院後,心内修復術を行った(B群).手術介入を行わなかったのは30例(C群).A群,B群の心疾患の内訳,手術術式や成績,在宅移行率,退院後の予後を検討した.また在宅移行率,生命予後については,C群と比較検討を行った. 結果:A群14例で,周術期死亡はなかった.全例で術後心不全症状の改善が得られ,10例(71%)は在宅移行した.退院時,経腸栄養は全例で確立されており,在宅人工呼吸管理を要した例はなかった.在宅移行できた10例中3例は現在生存中であるが,残り7例は,退院後呼吸器感染等を契機に死亡した.A群の在宅移行率は71%,C群は23%であった.経時的生存率はA群では生後1, 3, 6, 12ヶ月で100, 86, 71, 29%,C群では47, 37, 13, 3%であった.生存期間の中央値は,非手術例(C群)で24日に対し手術例(A群)で234日であった.B群2例(心室中隔欠損+肺動脈弁狭窄,心室中隔欠損)は生後7, 5ヶ月に心内修復術を行い経過良好で,明らかな肺高血圧の所見もない. 結論:心疾患以外の重大な合併疾患のない18トリソミーでは,心疾患の姑息術により在宅移行率の向上が見られた.心内修復術を行った例では,心不全症状の改善が得られ,比較的長期生存の可能性も示唆された.18トリソミーの心疾患に対する手術介入は,症例によっては治療の選択肢となりうる.家族との十分な話し合いのうえ,手術介入を含め,個々の症例の状況に応じた対応を行うことが重要である.
ISSN:0911-1794
2187-2988
DOI:10.9794/jspccs.31.254