本邦におけるEisenmenger症候群成人例の検討

「要旨」 背景:Eisenmenger症候群(ES)に対する肺血管拡張療法が普及しつつあるが, 本邦におけるES成人例の臨床像, 薬物治療の現状とその予後に与える影響ついての情報は乏しい. 方法:1998年から2009年の間に15施設を受診したES136例(女性83例, 最終受診時年齢中央値32歳, 16~68歳)を対象とし, 16歳以降の臨床経過および臨床検査データを検討した. 結果:最終受診時NYHA class≧IIIの症例は51例(38%)で, 抗心不全療法が85例に, 抗不整脈療法が26例に, 肺血管拡張療法が60例に行われていた. 中央値10年(0~28年)の経過観察期間中に17例...

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Veröffentlicht in:日本小児循環器学会雑誌 2011-05, Vol.27 (3), p.121-131
Hauptverfasser: 日本小児循環器学会研究委員会, 坂崎尚徳, 丹羽公一郎, 上野倫彦, 高室基樹, 中西敏雄, 賀藤均, 松島正気, 小島奈美子, 市田蕗子, 小垣滋豊, 城戸佐知子, 新垣義夫, 赤木禎治, 城尾邦隆, 須田憲治, 中澤誠, 佐地勉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 背景:Eisenmenger症候群(ES)に対する肺血管拡張療法が普及しつつあるが, 本邦におけるES成人例の臨床像, 薬物治療の現状とその予後に与える影響ついての情報は乏しい. 方法:1998年から2009年の間に15施設を受診したES136例(女性83例, 最終受診時年齢中央値32歳, 16~68歳)を対象とし, 16歳以降の臨床経過および臨床検査データを検討した. 結果:最終受診時NYHA class≧IIIの症例は51例(38%)で, 抗心不全療法が85例に, 抗不整脈療法が26例に, 肺血管拡張療法が60例に行われていた. 中央値10年(0~28年)の経過観察期間中に17例が死亡し, 8例が突然死した. 40年, 50年実測生存率は, それぞれ87%, 76%で, 失神既往例の40年生存率は, 既往のない例より有意に低かった. Propensity score matchingにより調整された肺血管拡張療法群の死亡率は, 肺血管拡張療法未施行群より有意に低かった(hazard ratio 0.18, 96% C.I. 0.01-0.94, p=0.0399). 死亡の独立した危険因子は, 最終受診時のBW≦45kg, PLc≦12.9×10 4/μlであった. 結論:本研究において, 本邦のES成人例の現況が明らかになり, 肺血管拡張療法が生命予後を改善することが示唆された.
ISSN:0911-1794