前庭機能評価を行ったムンプス難聴の2症例

「はじめに」ムンプス難聴は, ムンプスウイルスの感染によって生じる急性感音難聴であり, 血行性にウイルスが内耳に感染することにより生じると考えられている. 本邦では2015~16年のムンプス流行時にムンプス難聴症例の全国調査が行われ, 以下の知見が得られている. すなわち, 確実例335人中, 初診時および最終聴力のいずれも判明している203人中, 少しでも聴力が回復した症例は約5% (11人) と過去の報告と同様に少なく, 蝸牛機能の予後は不良であった. また, 罹患耳が一側であった患者が320人であったのに対し, 両側罹患した患者は15人 (4.5%) と稀ではないこと, さらにムンプス難...

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Veröffentlicht in:Equilibrium Research 2022/04/30, Vol.81(2), pp.59-66
Hauptverfasser: 吉村, 美歩, 新藤, 晋, 林, 智恵, 池園, 哲郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」ムンプス難聴は, ムンプスウイルスの感染によって生じる急性感音難聴であり, 血行性にウイルスが内耳に感染することにより生じると考えられている. 本邦では2015~16年のムンプス流行時にムンプス難聴症例の全国調査が行われ, 以下の知見が得られている. すなわち, 確実例335人中, 初診時および最終聴力のいずれも判明している203人中, 少しでも聴力が回復した症例は約5% (11人) と過去の報告と同様に少なく, 蝸牛機能の予後は不良であった. また, 罹患耳が一側であった患者が320人であったのに対し, 両側罹患した患者は15人 (4.5%) と稀ではないこと, さらにムンプス難聴においてめまいを伴う症例は131人 (39.1%) であり, めまいを合併する頻度が比較的高いことが明らかとなっている. ただし, ムンプス難聴症例における前庭障害の部位や前庭機能の予後など, 前庭系の詳細についてはほとんど分かっていない.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.81.59