Salmonella Infantisにより軽度に汚染された保育園給食を原因とする食中毒事例

「要約」2020年9月12日から25日にかけて保育園児57人が下痢, 発熱, 腹痛等を示した. 疫学調査情報から単一暴露が示唆され食中毒が疑われたものの, 患者が園児に限られ同じ給食を喫食した職員 (成人) に発症者がいないことから感染症も否定できなかった. 調査の結果, 9月10日に提供されたサラダからS. Infantisが検出され, 患者からもS. Infantisが検出されたことから, 9月10日の給食が原因となった食中毒と断定した. 本事例は原因食品の喫食量とS. Infantis汚染菌量が判明したため, 対象者ごとのS. Infantisの暴露量と発症の関連性を評価可能であった....

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Veröffentlicht in:日本食品微生物学会雑誌 2022/03/31, Vol.39(1), pp.33-37
Hauptverfasser: 水野, 卓也, 大西, 結, 岩間, 英里, 野田, 万希子, 越, 勝男, 佐藤, 容平, 亀山, 芳彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要約」2020年9月12日から25日にかけて保育園児57人が下痢, 発熱, 腹痛等を示した. 疫学調査情報から単一暴露が示唆され食中毒が疑われたものの, 患者が園児に限られ同じ給食を喫食した職員 (成人) に発症者がいないことから感染症も否定できなかった. 調査の結果, 9月10日に提供されたサラダからS. Infantisが検出され, 患者からもS. Infantisが検出されたことから, 9月10日の給食が原因となった食中毒と断定した. 本事例は原因食品の喫食量とS. Infantis汚染菌量が判明したため, 対象者ごとのS. Infantisの暴露量と発症の関連性を評価可能であった. これにより, S. Infantisの摂取菌量が1人あたり86~172個程度と少なかったことが, 潜伏期間の延長および免疫力の低い園児に患者が限られたことの要因と考えられた. また, 年齢と発症率には負の相関関係が認められ低年齢層ほど発症率が高かったことから, ハイリスクグループとされる乳幼児の中でも年齢層でS. Infantisの感受性が異なることが示唆された. 本事例のように患者が乳幼児に限られる場合, 病原体への感受性が年齢により異なることを考慮に入れ, 感染症との鑑別を行うことが重要であろう.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.39.33