ネコカリシウイルスに対する抗ウイルス活性を示す食品添加物および食品素材の探索

「緒言」ノロウイルス (以下NoVと略す) は, カリシウイルス科ノロウイルス属に分類され, 冬季に多発するウイルス性急性胃腸炎の主な病原ウイルスであり, 乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に感染し, 嘔吐・腹痛・下痢・発熱などの症状を引き起こす. NoVはウイルス性食中毒の主要な病原因子であり例年事件数・患者数ともに食中毒統計の上位を占めている. さらに乳幼児施設・学校・病院・高齢者施設などで集団胃腸炎事例の発生が多数報告されている. NoVの感染経路は, 水やカキ等の二枚貝以外にもNoVに汚染された種々の食品を介してヒトに経口感染することが知られており, 近年ではNoV感染調理従事者の手指を介した食材や調理器具等の汚染を原因とする食中毒事例が多数報告されている. NoVの感染拡大を防止するには, 手洗いによる物理的なウイルス除去, 食材の十分な加熱調理, 調理器具の洗浄・消毒, トイレやドアノブ等不特定多数の人の接触が考えられる箇所の消毒などが極めて重要である.