糞便検体処理作業が簡易化されたone-stepリアルタイムPCR法によるノロウイルスゲノム検出キットの性能評価

「緒言」ノロウイルスはウイルス性急性胃腸炎を引き起こす代表的なウイルスである. 本邦では, 2015～2017年に発生した食中毒患者の約半数がノロウイルスに起因している. 2016年にはノロウイルスに汚染されたパンを原因とした患者数1,271人の大規模な集団食中毒事例があり, さらに2017年1～2月に発生した刻みのり関連の食中毒は全国で7事例, 患者数2,094人にも及んだ. これらの事例を踏まえて, 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会において, 食品取扱い従事者の健康管理およびノロウイルス検査の重要性が確認され, 大量調理施設衛生管理マニュアルが改正されるに至った. ノロウイルスに関する具体的な改正点は, 1. 検出感度について, 「ノロウイルスの検査に当たっては, 遺伝子型によらず, おおむね便1g当たり105オーダーのノロウイルスを検出できる検査法を用いることが望ましい. 」