わが国における薬剤耐性菌の現状と今後の展望

「1. 薬剤耐性菌をめぐる社会の動き」2010年代後半以降, 薬剤耐性(antimicrobial resistance; AMR)は医療分野のみならず, 世界的に取り組むべき社会問題であるとの認識が急速に広まった. 保健医療の問題を取扱う世界保健機関(WHO)はもとより, より大きな枠組みとして国連総会や2015年にドイツで開催されたG7首脳会談においても議題として取り上げられた. また2017年には世界銀行もまたAMRを社会全体で対応すべき課題であるとの位置づけを示した. わが国においても, 2016年4月に薬剤耐性ナショナルアクションプランが策定され, 国立感染症研究所に薬剤耐性研究セン...

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Veröffentlicht in:日本食品微生物学会雑誌 2018/06/30, Vol.35(2), pp.69-80
1. Verfasser: 鈴木, 里和
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 薬剤耐性菌をめぐる社会の動き」2010年代後半以降, 薬剤耐性(antimicrobial resistance; AMR)は医療分野のみならず, 世界的に取り組むべき社会問題であるとの認識が急速に広まった. 保健医療の問題を取扱う世界保健機関(WHO)はもとより, より大きな枠組みとして国連総会や2015年にドイツで開催されたG7首脳会談においても議題として取り上げられた. また2017年には世界銀行もまたAMRを社会全体で対応すべき課題であるとの位置づけを示した. わが国においても, 2016年4月に薬剤耐性ナショナルアクションプランが策定され, 国立感染症研究所に薬剤耐性研究センターが, 国立国際医療研究センターには薬剤耐性臨床レファレンスセンターが設立された. AMRは決して近年新たに出現した問題ではなく抗菌薬による感染症治療には常につきまとっていた問題である. それが近年, 社会問題として認識されたきっかけがカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriacea; CRE)の出現と蔓延であったと考えられる.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.35.69