食品媒介によるトキソカラ症

「はじめに」寄生虫の多くは, 特定の動物の限られた臓器においてのみ成虫にまで発育し, 次の世代となる卵や幼虫を産生する. これらの寄生虫にとってその動物は固有宿主または終宿主definitive hostという. 一方, その寄生虫の幼虫が非固有宿主undefinitive hostに侵入すると, 幼虫のまま長期間生存し, 種々の臓器, 皮膚および神経組織などに移行して障害を与え, 時に重篤な症状を呈することがある. このような病態を幼虫移行症larva migransという. 幼虫移行症の代表的な疾患としては, トキソカラ症toxocariasisが挙げられる. トキソカラ症はイヌ回虫Tox...

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Veröffentlicht in:日本食品微生物学会雑誌 2014/03/31, Vol.31(1), pp.1-12
1. Verfasser: 山本, 徳栄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」寄生虫の多くは, 特定の動物の限られた臓器においてのみ成虫にまで発育し, 次の世代となる卵や幼虫を産生する. これらの寄生虫にとってその動物は固有宿主または終宿主definitive hostという. 一方, その寄生虫の幼虫が非固有宿主undefinitive hostに侵入すると, 幼虫のまま長期間生存し, 種々の臓器, 皮膚および神経組織などに移行して障害を与え, 時に重篤な症状を呈することがある. このような病態を幼虫移行症larva migransという. 幼虫移行症の代表的な疾患としては, トキソカラ症toxocariasisが挙げられる. トキソカラ症はイヌ回虫Toxocara canisやネコ回虫Toxocara catiなどのトキソカラ属線虫の幼虫が, 非固有宿主であるヒトの体内に侵入して, 種々の症状を引き起こす幼虫移行症を総称する. イヌ回虫症toxocariasis canisおよびネコ回虫症toxocariasis catiは重要な人獣共通寄生虫症zoonosisでもある.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.31.1