高齢者における舌尖部の構造変化について

「I. 緒言」 舌は消化管の最前部にある器官として, 咀嚼, 嚥下, 構音, 分泌, 味覚などの多彩な機能1, 2)を有しており, それらの機能を遂行するために繊細な動きが求められている. それゆえ, 舌内の神経分布は複雑であるとされており, 特に舌尖部は, 舌神経と舌下神経の吻合および両側の舌神経が交錯し合っているとされ3), 感覚も鋭敏であるといわれている4, 5). 舌の疾患には舌炎, 地図状舌, 正中菱形舌炎, 舌乳頭の肥大, 舌乳頭の萎縮, 溝舌, 舌痛などが挙げられ, おのおのの原因は局所的要因および全身的要因とさまざまである. またこれらの疾患のなかでも, 舌痛症の好発部位は舌尖...

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Veröffentlicht in:口腔病学会雑誌 2008/06/30, Vol.75(2), pp.93-105
1. Verfasser: 高橋, 知子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」 舌は消化管の最前部にある器官として, 咀嚼, 嚥下, 構音, 分泌, 味覚などの多彩な機能1, 2)を有しており, それらの機能を遂行するために繊細な動きが求められている. それゆえ, 舌内の神経分布は複雑であるとされており, 特に舌尖部は, 舌神経と舌下神経の吻合および両側の舌神経が交錯し合っているとされ3), 感覚も鋭敏であるといわれている4, 5). 舌の疾患には舌炎, 地図状舌, 正中菱形舌炎, 舌乳頭の肥大, 舌乳頭の萎縮, 溝舌, 舌痛などが挙げられ, おのおのの原因は局所的要因および全身的要因とさまざまである. またこれらの疾患のなかでも, 舌痛症の好発部位は舌尖部であるとされており, 臨床的にも注目されているにもかかわらず, その部の構造はいまだ十分に解明されておらず, 特に高齢者における加齢的変化に関しては不明な点が多いのが現状である. これまでの一般的なヒトの加齢的構造変化についての報告は, 若年者および成人と高齢者を比較しているものが多く, その場合には, 60歳以上を一括して高齢者として扱っているものが多い.
ISSN:0300-9149
1884-5185
DOI:10.5357/koubyou.75.93