2. 顎口腔外科 熱流束による新しい下歯槽神経障害評価法の開発

歯科治療あるいは外科的矯正手術後に, 知覚障害をきたすことはまれではない. 知覚障害を認めた場合に重要なことは, 治療と予後の判定のために障害の程度を評価することである. 知覚障害評価にはさまざまな方法があるが, 大別すると痛覚, 触覚(圧覚, 振動覚), 温度覚による評価である. 前二者による知覚検査は日常臨床に広く用いられているのに対して, 温度覚の閾値検査は測定の煩雑性や評価の不安定性などにより使用頻度は低かった. しかし, 温覚にはC線維, 冷覚にはC線維とAδ線維が関係していることから, 障害を神経線維に基づいてより詳細に分類することが可能になることが期待される. 従来, 温度覚閾値...

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Veröffentlicht in:口腔病学会雑誌 2007-03, Vol.74 (1), p.52-52
Hauptverfasser: 樺沢勇司, 佐藤百合子, 小村健, 芦川すが, 川野哲平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯科治療あるいは外科的矯正手術後に, 知覚障害をきたすことはまれではない. 知覚障害を認めた場合に重要なことは, 治療と予後の判定のために障害の程度を評価することである. 知覚障害評価にはさまざまな方法があるが, 大別すると痛覚, 触覚(圧覚, 振動覚), 温度覚による評価である. 前二者による知覚検査は日常臨床に広く用いられているのに対して, 温度覚の閾値検査は測定の煩雑性や評価の不安定性などにより使用頻度は低かった. しかし, 温覚にはC線維, 冷覚にはC線維とAδ線維が関係していることから, 障害を神経線維に基づいてより詳細に分類することが可能になることが期待される. 従来, 温度覚閾値は温度差により比較評価されていたが, 最近, 温度差によって生ずる熱流束で評価することが提唱された1). この熱流束とは温度差を有する物質間に流れる単位面積当たりの熱量をいう. 熱流束による評価法の特徴は従来の温度覚による方法に比べて, 測定部位の皮膚温に左右されないこと, 短時間に複数の部位の測定が可能なこと, 温覚と冷覚を別々に測定可能なことなどの利点を有している.
ISSN:0300-9149