意見 : 第48巻1号: 意見 : 「第47巻6号 招待論文 (前編) を読んで」への返信

医学研究において質的研究は, 臨床家のためにこそあると私は考えています. 私は医療人類学者であるゆえ, 患者として病院に行くだけの方に比べると, 多様で幅広い臨床家の方の声を聞く機会におそらく恵まれています. そして, そのような皆さまのお話から垣間見えるのは, 疫学統計的な病態把握だけではとらえられない患者さんの姿であり, そこに真摯に向き合おうとする皆さんの姿です. しかしそのような皆さんが, いざ研究となると途端に自信をなくし, 方法に走ってしまうのはなぜか. 一般化の可能性をやたらと気にするのはなぜか. その結果, 長い臨床経験の中で培われたはずの質感が研究からすっかり消え失せてしまっ...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:医学教育 2017/06/25, Vol.48(3), pp.157-158
1. Verfasser: 磯野, 真穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:医学研究において質的研究は, 臨床家のためにこそあると私は考えています. 私は医療人類学者であるゆえ, 患者として病院に行くだけの方に比べると, 多様で幅広い臨床家の方の声を聞く機会におそらく恵まれています. そして, そのような皆さまのお話から垣間見えるのは, 疫学統計的な病態把握だけではとらえられない患者さんの姿であり, そこに真摯に向き合おうとする皆さんの姿です. しかしそのような皆さんが, いざ研究となると途端に自信をなくし, 方法に走ってしまうのはなぜか. 一般化の可能性をやたらと気にするのはなぜか. その結果, 長い臨床経験の中で培われたはずの質感が研究からすっかり消え失せてしまっているのはなぜか. 2編の論文は臨床家に質的研究を教えるようになってから芽生えた私自身の疑問に対する回答でもありました.
ISSN:0386-9644
2185-0453
DOI:10.11307/mededjapan.48.3_157