内耳障害を来した中耳非結核性抗酸菌症の1例

中耳非結核性抗酸菌症は非常に稀である。今回我々は診断に難渋し、経過中に内耳障害を来した中耳非結核性抗酸菌症の1例を経験した。症例は74歳男性で、近医から難治性耳漏で紹介受診となった。左混合性難聴および左鼓膜穿孔と、肉芽・白苔を伴う耳漏を認めた。塗抹検査で抗酸菌を認めたが結核菌PCRおよびクオンティフェロンは陰性で非結核性抗酸菌症と考えた。抗酸菌培養では菌同定ができていなかったが、右向き水平眼振を伴うめまいが出現したため非結核性抗酸菌症として多剤併用療法を開始した。非結核性抗酸菌症の中で最も頻度の高いMAC(M. avium complex)症に準じてクラリスロマイシンCAM600mg、リファン...

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Veröffentlicht in:Otology Japan 2015, Vol.25(5), pp.823-827
Hauptverfasser: 上原, 奈津美, 後藤, 友佳子, 山本, 沙織
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:中耳非結核性抗酸菌症は非常に稀である。今回我々は診断に難渋し、経過中に内耳障害を来した中耳非結核性抗酸菌症の1例を経験した。症例は74歳男性で、近医から難治性耳漏で紹介受診となった。左混合性難聴および左鼓膜穿孔と、肉芽・白苔を伴う耳漏を認めた。塗抹検査で抗酸菌を認めたが結核菌PCRおよびクオンティフェロンは陰性で非結核性抗酸菌症と考えた。抗酸菌培養では菌同定ができていなかったが、右向き水平眼振を伴うめまいが出現したため非結核性抗酸菌症として多剤併用療法を開始した。非結核性抗酸菌症の中で最も頻度の高いMAC(M. avium complex)症に準じてクラリスロマイシンCAM600mg、リファンピシンRF450mg、エタンブトール塩酸塩EB500mgの内服を用いた。治療開始後1カ月でめまいは改善し3カ月後には鼓膜穿孔も閉鎖した。約1年間多剤併用療法を継続し、聴力は気骨導差がなくなった。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.25.823