混合難聴を伴った肥厚性硬膜炎の2症例

両側の混合難聴を伴った肥厚性硬膜炎の2症例を経験した。2症例ともにMPO-ANCA陽性で、滲出性中耳炎を合併しており、MRI検査にて肥厚性硬膜炎の診断に至った。症例1においては肥厚した硬膜の生検を施行しているが、血管炎の病理所見は認められなかった。すでに患側は聾に至っており、ステロイド大量投与によって肥厚性硬膜炎の改善はみられたが、聴力の改善は認めなかった。比較的早期に診断がついた症例2では、ステロイド大量投与により肥厚性硬膜炎および聴力の改善を認めた。 難治性滲出性中耳炎に骨導閾値の上昇、MPO-ANCA陽性を合併した症例に対しては本疾患を念頭に置く必要があると思われた。また不可逆性の聴力障...

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Veröffentlicht in:Otology Japan 2012, Vol.22(3), pp.266-273
Hauptverfasser: 福留, 真二, 鳥原, 康治, 平原, 信哉, 長井, 慎成, 東野, 哲也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:両側の混合難聴を伴った肥厚性硬膜炎の2症例を経験した。2症例ともにMPO-ANCA陽性で、滲出性中耳炎を合併しており、MRI検査にて肥厚性硬膜炎の診断に至った。症例1においては肥厚した硬膜の生検を施行しているが、血管炎の病理所見は認められなかった。すでに患側は聾に至っており、ステロイド大量投与によって肥厚性硬膜炎の改善はみられたが、聴力の改善は認めなかった。比較的早期に診断がついた症例2では、ステロイド大量投与により肥厚性硬膜炎および聴力の改善を認めた。 難治性滲出性中耳炎に骨導閾値の上昇、MPO-ANCA陽性を合併した症例に対しては本疾患を念頭に置く必要があると思われた。また不可逆性の聴力障害を来す前に、早期治療が必要と思われた。
ISSN:0917-2025
1884-1457
DOI:10.11289/otoljpn.22.266