マウス耳下腺細胞でミオシン軽鎖キナーゼは細胞内カルシウム流入過程のcapacitative calcium entry, non-capacitative calcium entry を相反する形で制御する

目的: アラキドン酸 (AA) は, さまざまな細胞の細胞内カルシウム濃度 ([Ca2+]i) を調節する. 細胞内Ca2+上昇機構として, 細胞内貯蔵場からのCa2+放出と細胞外からのCa2+流入の2つがあげられる. 本研究では, その中でも細胞外からのCa2+流入に着目した. マウス耳下腺腺房を用い, タプシガルジン(Tg)誘発性, およびAA誘発性のCa2+流入におけるセリン/スレオニンキナーゼの一つであるミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の効果を, 細胞内Ca2+ 測定試薬のFura-2を用いて解析した.材料と方法: 雄性スイスウエブスターマウスを用い, 炭酸ガス麻酔下で屠殺後, 耳下腺...

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Veröffentlicht in:岩手医科大学歯学雑誌 2020/06/20, Vol.45(1), pp.1-12
Hauptverfasser: 齋野, 朝幸, 熊谷, 美保, 佐藤, 洋一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的: アラキドン酸 (AA) は, さまざまな細胞の細胞内カルシウム濃度 ([Ca2+]i) を調節する. 細胞内Ca2+上昇機構として, 細胞内貯蔵場からのCa2+放出と細胞外からのCa2+流入の2つがあげられる. 本研究では, その中でも細胞外からのCa2+流入に着目した. マウス耳下腺腺房を用い, タプシガルジン(Tg)誘発性, およびAA誘発性のCa2+流入におけるセリン/スレオニンキナーゼの一つであるミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の効果を, 細胞内Ca2+ 測定試薬のFura-2を用いて解析した.材料と方法: 雄性スイスウエブスターマウスを用い, 炭酸ガス麻酔下で屠殺後, 耳下腺を取り出しコラゲナーゼ等を用いて腺房細胞単位にまで消化した. その後細胞にFura-2/AMを導入し標本とした. 各種試薬を用いて刺激し, Fura-2の特性から380nmと340nmの比をとったものを Ratioとして示し, この蛍光強度比の変化を[Ca2+]i変化の指標とした.結果: MLCK阻害剤のML9およびwortmannin単独では, [Ca2+]i に影響を及ぼさなかった. ML9およびwortmannin存在下で, Tg誘発性のCa2+流入(capacitaive Ca2+entry: CCE)が抑制された. これに対し, AA誘発性Ca2+流入(non-capacitative Ca2+entry: NCCE)は wortmannin存在下では減弱したのに対し, ML9存在下では増強した. ML9存在下で, PKAが関与するカリキュリンA共存下でのAA誘発性Ca2+上昇の作用増強に対し, MLCK阻害剤はこの NCCEを増強させる結果となった. また, MLCK 阻害剤の投与順序を変更してもカリキュリンA 共存下でのAA誘発性 Ca2+上昇に違いは認められなかった.結論: MLCKはCCEを増強させる反面, AA誘発性の Ca2+流入である NCCE を抑制する. また, PKAはNCCE増強に働くが, その近傍に存在するMLCKによって修飾を受け, お互いに協調して NCCEに働いている可能性がある.
ISSN:0385-1311
2424-1822
DOI:10.20663/iwateshigakukaishi.45.1_1