演題3. カエル味覚器細胞の電位依存性Na+電流に対するセロトニンの効果

目的:カエル味覚器である味覚円盤は多様な種類の細胞で構成されている. タイプIb, IIおよびIII細胞は興奮性細胞で活動電位を発生する. タイプIV細胞であるメルケル様基底細胞にはセロトニン(5-HT)が含まれている. タイプIV細胞は口腔内との接触は無く, タイプIV細胞内の5-HTは味覚神経応答のモデュレーターとして考えられている. そこで, 本研究ではタイプIb, IIおよびIII細胞の興奮性に対する5-HTの効果を調べた. 方法:実験にはウシガエルを用いた. カエルをウレタン麻酔し, 茸状乳頭を摘出した. 茸状乳頭からカエル味覚器スライス標本を作製した. パッチクランプ記録を行い,...

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Veröffentlicht in:岩手医科大学歯学雑誌 2007/04/25, Vol.32(1), pp.90
Hauptverfasser: 深見, 秀之, 奥田・赤羽, 和久, 北田, 泰之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:カエル味覚器である味覚円盤は多様な種類の細胞で構成されている. タイプIb, IIおよびIII細胞は興奮性細胞で活動電位を発生する. タイプIV細胞であるメルケル様基底細胞にはセロトニン(5-HT)が含まれている. タイプIV細胞は口腔内との接触は無く, タイプIV細胞内の5-HTは味覚神経応答のモデュレーターとして考えられている. そこで, 本研究ではタイプIb, IIおよびIII細胞の興奮性に対する5-HTの効果を調べた. 方法:実験にはウシガエルを用いた. カエルをウレタン麻酔し, 茸状乳頭を摘出した. 茸状乳頭からカエル味覚器スライス標本を作製した. パッチクランプ記録を行い, タイプIb, IIおよびIII細胞から電位依存性Na+電流を記録した. 5-HT1A受容体アゴニストである20μMの(±)-8-Hydroxy-2-(dipropylamino)tetralin(8-OH-DPAT)を含む灌流液で灌流し, 電位依存性Na+電流の変化を調べた. 細胞タイプの同定は電極内に封入したLucifer yellowで細胞を標識し行った. 結果および考察:8-OH-DPAT投与により, 3種の細胞タイプで電位依存性Na+電流の部分的抑制が観察された. 抑制の効果はタイプIb細胞で14.1±3.1%, タイプII細胞で19.4±1.8%, タイプIII細胞で22.5±4.5%であった. 抑制の効果について細胞間で統計的有意差は無かった. 5-HTはタイプIb, IIおよびIII細胞の興奮性を5-HT1A受容体を介して抑制することが明らかになった. 5-HTは神経終末とシナプス接合しているタイプIII細胞の電位依存性Na+電流の抑制により味覚神経への出力を抑え神経応答を調節していると考えられる.
ISSN:0385-1311
2424-1822
DOI:10.20663/iwateshigakukaishi.32.1_90_1