演題1. 上下顎切歯部を中心に複数の歯に認められた長根

目的 : 我々は上下顎切歯部を中心に複数の歯に著しい長根を有する一例に遭遇した. 過去の報告では永久歯, 特に犬歯の長根は多数報告されているが, 乳歯における報告はない. 治療目的による乳前歯4本の抜去を施行したので, それらの詳細を報告する. 材料 : 患者は24歳, 女性. 右側下顎第一大臼歯の痛みを主訴に来院した. 家族法に特記事項はない. 既往歴は, 幼児期に両側先天性白内障, 網膜剥離, 増殖性硝子体網膜症にて手術を受けた. 現症は, 口腔内に多数の乳歯が残存し, 叢生を呈していた. また主訴である右側下顎第一大臼歯に根尖性歯周炎が認められた. パノラマエックス線写真, 口腔内写真,...

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Veröffentlicht in:岩手医科大学歯学雑誌 2003/08/11, Vol.28(2), pp.102-103
Hauptverfasser: 末次, 博, 藤村, 朗, 小野寺, 政雄, 野坂, 洋一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:目的 : 我々は上下顎切歯部を中心に複数の歯に著しい長根を有する一例に遭遇した. 過去の報告では永久歯, 特に犬歯の長根は多数報告されているが, 乳歯における報告はない. 治療目的による乳前歯4本の抜去を施行したので, それらの詳細を報告する. 材料 : 患者は24歳, 女性. 右側下顎第一大臼歯の痛みを主訴に来院した. 家族法に特記事項はない. 既往歴は, 幼児期に両側先天性白内障, 網膜剥離, 増殖性硝子体網膜症にて手術を受けた. 現症は, 口腔内に多数の乳歯が残存し, 叢生を呈していた. また主訴である右側下顎第一大臼歯に根尖性歯周炎が認められた. パノラマエックス線写真, 口腔内写真, 抜去した乳前歯4本を計測, 内部構造の検索のため, マイクロCT撮影し, 詳細に検討した. 結果 : 口腔内写真およびパノラマエックス線写真より両側上下顎乳側切歯, 左側上顎乳犬歯, 両側下顎乳犬歯, 両側上顎第一乳臼歯, 計9本が晩期残存として口腔内に認められた. 抜去した乳前歯4本の歯冠は日本人乳歯平均値の範囲内であったが, 歯根が長く, 歯冠/歯根が日本人乳歯平均値では0.6~0.7であるのに対し, 本症例では0.2~0.3であった. マイクロCTによる歯髄腔の検索の結果, 側枝はなく, 根尖は完成していた. 考察と結論 : 本症例の乳前歯は日本人平均値における永久犬歯より歯牙全長が長く, このような報告は過去にみられなかった. 通常, 乳歯根尖が完成する3歳時, 本症例の乳前歯は根尖が完成しておらず, 下顎骨の成長に伴って歯根のみが成長し続けたと考えられる. このような長根を有する乳歯に関する報告はなく, 永久歯における報告でも, 原因は不明である. 今後, このような症例を集め, できれば経時的にデータを収集し, さらに家族歴を詳細に検討する必要があると考えられた.
ISSN:0385-1311
2424-1822
DOI:10.20663/iwateshigakukaishi.28.2_102_2