中皮腫を発症した患者の経済面における心情的困窮感の発生要因の検討―患者アンケートによる収入面と支出面の分析を通して
目的.中皮腫患者は労働者災害補償保険法や石綿健康被害救済制度を利用できるが,経済面における心情的困窮感の発生には個人差があり,その実態は明らかにされていない.本稿では患者の収入面と支出面から心情的困窮感の発生要因,所得保障の課題点を考察した.方法.患者に対してアンケート調査を行い,収入面では心情的困窮感を従属変数にして,収入源10項目で重回帰分析を行った.支出面では心情的困窮感が発生しやすい金額をFisherの正確確率検定で探求的に分析した.またt検定を用いて心情的困窮感の発生の有無で,患者の年齢を比較した.結果.収入面では「老齢/障害年金」「権利収入」の増加で心情的困窮感の係数が減少し,「家...
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Veröffentlicht in: | 肺癌 2024/04/20, Vol.64(2), pp.89-96 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的.中皮腫患者は労働者災害補償保険法や石綿健康被害救済制度を利用できるが,経済面における心情的困窮感の発生には個人差があり,その実態は明らかにされていない.本稿では患者の収入面と支出面から心情的困窮感の発生要因,所得保障の課題点を考察した.方法.患者に対してアンケート調査を行い,収入面では心情的困窮感を従属変数にして,収入源10項目で重回帰分析を行った.支出面では心情的困窮感が発生しやすい金額をFisherの正確確率検定で探求的に分析した.またt検定を用いて心情的困窮感の発生の有無で,患者の年齢を比較した.結果.収入面では「老齢/障害年金」「権利収入」の増加で心情的困窮感の係数が減少し,「家族からの支援」の増加で係数が増加した.支出面は33万円/月が心情的困窮感の発生の有無の境界になっており,年齢層では心情的困窮感は特に若年者で多く見られた.結論.現行では経済基盤が脆弱な患者は十分に補償・救済がなされず,患者の生活実情に即した制度設計の再検討が求められる.医療機関では「若年者・不労収入がない・月間支出額が33万円より高い・保険適用外の療養に関する費用が多い」に該当する患者に対する支援体制の整備が求められる. |
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ISSN: | 0386-9628 1348-9992 |
DOI: | 10.2482/haigan.64.89 |