肺癌による傍腫瘍性神経症候群としての嚥下機能障害がオシメルチニブ投与により改善した1例
背景.傍腫瘍性神経症候群の原疾患としては肺癌が最多であるが,非小細胞肺癌における報告は少ない.症例.75歳,女性.嚥下困難を主訴に当院を受診したが,嚥下障害の原因となる器質的・神経学的異常所見は認めなかった.CTで右中葉に1.5 cm,左下葉に1.9 cmの結節性病変を認めたため,肺癌による傍腫瘍性神経症候群が疑われた.PET/CTでは,右中葉病変にのみSUVmax 5.0のFDG集積を認め,右中葉肺癌疑い(cT1bN0M0,IA2期)として,診断的治療目的に右中葉切除術とリンパ節郭清を施行した.病理ではEGFR遺伝子変異(Exon21 L858R)陽性の肺腺癌(pT2aN2M0,IIIA期)...
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Veröffentlicht in: | 肺癌 2023/06/20, Vol.63(3), pp.188-194 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景.傍腫瘍性神経症候群の原疾患としては肺癌が最多であるが,非小細胞肺癌における報告は少ない.症例.75歳,女性.嚥下困難を主訴に当院を受診したが,嚥下障害の原因となる器質的・神経学的異常所見は認めなかった.CTで右中葉に1.5 cm,左下葉に1.9 cmの結節性病変を認めたため,肺癌による傍腫瘍性神経症候群が疑われた.PET/CTでは,右中葉病変にのみSUVmax 5.0のFDG集積を認め,右中葉肺癌疑い(cT1bN0M0,IA2期)として,診断的治療目的に右中葉切除術とリンパ節郭清を施行した.病理ではEGFR遺伝子変異(Exon21 L858R)陽性の肺腺癌(pT2aN2M0,IIIA期)と診断された.術後も神経症状は改善せず,左下葉病変は臨床的に右肺病変からの肺内転移であると判断し,全身薬物療法としてオシメルチニブ(80 mg/day)の投与を開始した.投与後7日目から嚥下障害は改善し,現在10か月目で再燃なく経過している.結論.傍腫瘍性神経症候群を合併するEGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌に対しては,腫瘍に対する分子標的治療が傍腫瘍性神経症候群の改善にも寄与することがある. |
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ISSN: | 0386-9628 1348-9992 |
DOI: | 10.2482/haigan.63.188 |