両側副腎転移によるAddison病を契機に発見された原発性肺腺癌の1例
背景.肺癌では両側副腎転移を呈しても多くの症例は無症候性であり,Addison病を発症することは比較的稀である.また,その報告のほとんどは肺癌治療経過中のものとされる.症例.70歳代男性.X年2月から起床時の倦怠感を自覚するようになった.同年7月の起床時に冷汗を認めた後,奇声を発するなどの異常行動があり,当院に救急搬送された.来院時,低血糖症状を呈しており,全身皮膚の色素沈着を認めた.CT検査で左肺上葉に結節影を認め,両側副腎には内部に低吸収域を含み,不均一に造影される腫瘤影を認めた.血液検査ではACTHとCEAの著明な上昇を認めた一方で,コルチゾールの低下を認めた.各種所見から両側副腎腫瘍に...
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Veröffentlicht in: | 肺癌 2022/06/20, Vol.62(3), pp.216-220 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景.肺癌では両側副腎転移を呈しても多くの症例は無症候性であり,Addison病を発症することは比較的稀である.また,その報告のほとんどは肺癌治療経過中のものとされる.症例.70歳代男性.X年2月から起床時の倦怠感を自覚するようになった.同年7月の起床時に冷汗を認めた後,奇声を発するなどの異常行動があり,当院に救急搬送された.来院時,低血糖症状を呈しており,全身皮膚の色素沈着を認めた.CT検査で左肺上葉に結節影を認め,両側副腎には内部に低吸収域を含み,不均一に造影される腫瘤影を認めた.血液検査ではACTHとCEAの著明な上昇を認めた一方で,コルチゾールの低下を認めた.各種所見から両側副腎腫瘍によるAddison病と診断し,ステロイド補充療法にて全身状態は速やかに改善した.腹腔鏡下右副腎腫瘍生検を実施し,免疫組織化学染色の結果と併せて原発性肺腺癌と診断した.現在,ニボルマブとイピリムマブの併用療法を実施し,腫瘍縮小効果が得られている.結論.Addison病は致死的かつ治療可能な病態であり,両側副腎転移を呈する肺癌においては初診時からその合併を常に念頭に置く必要がある. |
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ISSN: | 0386-9628 1348-9992 |
DOI: | 10.2482/haigan.62.216 |