EGFR-TKI投与中に合併した大動脈弁狭窄症に対する体外循環下大動脈弁置換術および他の心血管疾患に対する積極的治療により70か月の長期生存を得られたEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の1例

背景.進行非小細胞肺がんに対する薬物療法の進歩により,治療成績は著明に向上,長期生存例も経験されている.特にEGFR(epidermal growth factor receptor)遺伝子変異陽性肺がんは長期予後が期待できるため,合併症に対しても積極的な治療を検討する必要がある.薬物療法中の進行肺がん患者に併発した弁膜症に対し体外循環を用いた弁置換術を行い術後32か月,計70か月の長期生存が得られた報告は我々の知る限りでは見られない.症例.症例は76歳男性,EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌(cTxN0M1a;IVA期),肺がんに対しEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)内服開始38か...

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Veröffentlicht in:肺癌 2022/04/20, Vol.62(2), pp.90-96
Hauptverfasser: 西條, 天基, 田中, 彰彦, 横山, 泰孝, 内山, 隆史, 天野, 篤, 池田, 徳彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.進行非小細胞肺がんに対する薬物療法の進歩により,治療成績は著明に向上,長期生存例も経験されている.特にEGFR(epidermal growth factor receptor)遺伝子変異陽性肺がんは長期予後が期待できるため,合併症に対しても積極的な治療を検討する必要がある.薬物療法中の進行肺がん患者に併発した弁膜症に対し体外循環を用いた弁置換術を行い術後32か月,計70か月の長期生存が得られた報告は我々の知る限りでは見られない.症例.症例は76歳男性,EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌(cTxN0M1a;IVA期),肺がんに対しEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)内服開始38か月後に大動脈弁狭窄症に対する体外循環下大動脈弁置換術を行った.また冠動脈3枝病変への冠動脈形成術,総大腿動脈瘤へのバイパス手術など心血管合併症に対する積極的治療もEGFR-TKI内服治療中に行い,計70か月の長期生存を得た.結論.重症弁膜症を合併した進行非小細胞肺がんに対しても,非心疾患患者と同様の薬物療法を行いつつ適切な時期に手術療法を加えることにより長期生存が期待できる.地域の基幹病院において診療他科と密接に協力した医療体制により治療効果の向上が期待される.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.62.90