遺伝子検査が有用であった多臓器転移を伴うEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の1例
背景.現在の化学療法は臓器別に標準治療が決まっており,多数の転移を伴う腫瘍で原発巣の同定は重要である.症例.61歳女性,肉眼的血尿と体重減少で近医を受診.CTで両側腎腫瘍と両肺の多発腫瘍を認め,腎腫瘍生検を施行するも,腎臓以外が原発と考えられ当院を紹介受診.肺病変は右S3に浸潤影を伴う腫瘍と多発結節影を認め,S3とS5の病変を生検した.S3病変はTTF-1陽性の肺腺癌の像を呈し,S5病変はTTF-1陰性で特定の分化傾向はなく,免疫染色は腎腫瘍と類似していた.S3腫瘍のEGFR遺伝子変異検査では,Exon19欠失を認めた.S5腫瘍と腎腫瘍もともにExon19欠失を認め,EGFR遺伝子変異陽性肺腺...
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Veröffentlicht in: | 肺癌 2021/10/20, Vol.61(5), pp.429-433 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 背景.現在の化学療法は臓器別に標準治療が決まっており,多数の転移を伴う腫瘍で原発巣の同定は重要である.症例.61歳女性,肉眼的血尿と体重減少で近医を受診.CTで両側腎腫瘍と両肺の多発腫瘍を認め,腎腫瘍生検を施行するも,腎臓以外が原発と考えられ当院を紹介受診.肺病変は右S3に浸潤影を伴う腫瘍と多発結節影を認め,S3とS5の病変を生検した.S3病変はTTF-1陽性の肺腺癌の像を呈し,S5病変はTTF-1陰性で特定の分化傾向はなく,免疫染色は腎腫瘍と類似していた.S3腫瘍のEGFR遺伝子変異検査では,Exon19欠失を認めた.S5腫瘍と腎腫瘍もともにExon19欠失を認め,EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌,多発肺転移,両側腎転移と診断し,Afatinibで治療開始後,腫瘍は縮小した.結論.本症例は臨床所見や病理所見では腎腫瘍の由来を同定できなかったが,遺伝子検査でEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の両側肺転移,腎転移と診断され,原発巣の同定や治療方針の決定に遺伝子検査は有用と考えられた. |
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ISSN: | 0386-9628 1348-9992 |
DOI: | 10.2482/haigan.61.429 |