頚部リンパ節結核を合併し診断治療に難渋した肺癌の1例

背景.頚部リンパ節結核は結核全体の2~3%程度を占めている.肺結核と肺癌の合併例は多数報告があるが,頚部リンパ節結核と肺癌の合併例はまれである.症例.76歳女性.右頚部腫脹を主訴に受診し,CTで右肺S1の結節と頚部リンパ節腫脹を指摘された.肺癌のリンパ節転移を疑い右頚部リンパ節生検を行ったところ,頚部リンパ節結核の診断であった.右肺結節診断目的の検査を検討したが,肺結核腫であった場合の感染の問題もあり気管支鏡は行わず,まずリンパ節結核に対する標準治療を開始した.菌量減少が期待でき,かつ治療に対する反応を確認できる期間まで抗菌療法を行った後,肺結節の診断と治療の目的で手術を行った.迅速病理診断で...

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Veröffentlicht in:肺癌 2021/10/20, Vol.61(5), pp.407-411
Hauptverfasser: 中上, 力良, 中橋, 健太, 椎川, 真里那, 遠藤, 誠, 阿部, 修一, 鈴木, 博貴, 塩野, 知志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.頚部リンパ節結核は結核全体の2~3%程度を占めている.肺結核と肺癌の合併例は多数報告があるが,頚部リンパ節結核と肺癌の合併例はまれである.症例.76歳女性.右頚部腫脹を主訴に受診し,CTで右肺S1の結節と頚部リンパ節腫脹を指摘された.肺癌のリンパ節転移を疑い右頚部リンパ節生検を行ったところ,頚部リンパ節結核の診断であった.右肺結節診断目的の検査を検討したが,肺結核腫であった場合の感染の問題もあり気管支鏡は行わず,まずリンパ節結核に対する標準治療を開始した.菌量減少が期待でき,かつ治療に対する反応を確認できる期間まで抗菌療法を行った後,肺結節の診断と治療の目的で手術を行った.迅速病理診断で肺癌の診断であり右肺上葉切除およびリンパ節郭清を行い,病理組織診断はpT2aN0M0-Stage IBの腺癌であった.術後も結核への標準治療を継続中であり,術後補助化学療法は行わなかった.術後8か月再発なく経過している.結論.頚部リンパ節結核と肺癌の合併例を経験した.感染が制御されていない状態での肺癌治療は困難で,結核に対する迅速かつ効果的な治療をまず行うことが重要と考えられた.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.61.407