胸腺上皮性腫瘍の腫瘍倍加速度と組織型との関連についての検討―胸腺腫と胸腺癌の治療前鑑別は可能か

目的.胸腺上皮性腫瘍における腫瘍倍加速度(tumor doubling time:TDT)と組織型との関連を検討すること.方法.当院における胸腺上皮性腫瘍初回治療例67例のうち,術前治療施行・術前にCTを2回撮像していない・2回のCTの間隔が20日未満の症例を除外した38例を対象とし,TDTと組織型との関係を検討した.結果.年齢中央値は65歳,男性16例・女性22例で,胸腺腫29例・胸腺癌9例であった.観察期間中央値は113日であった.腫瘍径は29例で増大(胸腺腫20例・胸腺癌9例),8例で不変(胸腺腫8例),1例で縮小(胸腺腫1例)していた.腫瘍径が増大した29例を対象とすると,TDTの中央...

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Veröffentlicht in:肺癌 2021/08/20, Vol.61(4), pp.297-302
Hauptverfasser: 福本, 紘一, 後藤, まどか, 市川, 靖久, 川角, 佑太, 内山, 美佳, 森, 正一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的.胸腺上皮性腫瘍における腫瘍倍加速度(tumor doubling time:TDT)と組織型との関連を検討すること.方法.当院における胸腺上皮性腫瘍初回治療例67例のうち,術前治療施行・術前にCTを2回撮像していない・2回のCTの間隔が20日未満の症例を除外した38例を対象とし,TDTと組織型との関係を検討した.結果.年齢中央値は65歳,男性16例・女性22例で,胸腺腫29例・胸腺癌9例であった.観察期間中央値は113日であった.腫瘍径は29例で増大(胸腺腫20例・胸腺癌9例),8例で不変(胸腺腫8例),1例で縮小(胸腺腫1例)していた.腫瘍径が増大した29例を対象とすると,TDTの中央値(範囲)は胸腺腫が468日(138~4519日),胸腺癌は164日(44~2130日)で,胸腺癌のTDTは胸腺腫より有意に短かった(p=0.0072).TDTにて胸腺腫・胸腺癌の鑑別を試みると,ROC曲線のarea under the curveは0.817であった.結論.術前に腫瘍径が増大する胸腺上皮性腫瘍においては,胸腺癌と胸腺腫の鑑別にTDTが有用である可能性がある.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.61.297