良好な経過をたどった中縦隔原発カルチノイド腫瘍の1切除例

背景.カルチノイド腫瘍は神経内分泌腫瘍の一つであり,前縦隔の胸腺カルチノイドの報告例は散見されるが,中縦隔を主座とするカルチノイド腫瘍の報告例は非常に稀である.症例.60歳男性.検診の胸部X線で異常陰影を指摘され,CTで気管腹側に20 mm大の腫瘤性病変を認めた.造影CT・MRIで不均一な造影効果を伴う充実部分を認めたが,PET-CTでは淡いFDGの集積を認めるのみであった.半年後のCTで腫瘍は4 mm程度増大しており,摘出手術の方針となった.腫瘍は甲状腺下極の結合織から中縦隔へ連続する病変であり,周囲への浸潤所見や周囲リンパ節の腫大は認められなかった.病理学的に,類円形の核と淡明細胞がシート...

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Veröffentlicht in:肺癌 2020/12/20, Vol.60(7), pp.1012-1016
Hauptverfasser: 辛島, 高志, 野田, 大樹, 安部, 美幸, 阿南, 健太郎, 宮脇, 美千代, 武内, 秀也, 岡本, 龍郎, 駄阿, 勉, 杉尾, 賢二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.カルチノイド腫瘍は神経内分泌腫瘍の一つであり,前縦隔の胸腺カルチノイドの報告例は散見されるが,中縦隔を主座とするカルチノイド腫瘍の報告例は非常に稀である.症例.60歳男性.検診の胸部X線で異常陰影を指摘され,CTで気管腹側に20 mm大の腫瘤性病変を認めた.造影CT・MRIで不均一な造影効果を伴う充実部分を認めたが,PET-CTでは淡いFDGの集積を認めるのみであった.半年後のCTで腫瘍は4 mm程度増大しており,摘出手術の方針となった.腫瘍は甲状腺下極の結合織から中縦隔へ連続する病変であり,周囲への浸潤所見や周囲リンパ節の腫大は認められなかった.病理学的に,類円形の核と淡明細胞がシート状に増殖し,壊死や核分裂像はみられず,定型カルチノイド腫瘍と診断された.術後補助化学療法は行わず術後17ヶ月無再発経過中である.結論.中縦隔原発のカルチノイド腫瘍の報告は稀であり,組織学的悪性度により予後は大きく異なる.診断未確定の中縦隔腫瘍で充実成分を伴う場合あるいは腫瘍の増大傾向を示す場合は,積極的な外科的切除を考慮すべきである.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.60.1012