上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性肺癌と陰性肺癌に対して,上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤と細胞障害性抗癌剤を併用投与した1例
背景.2つの病変に分子標的薬が全く異なった効果を示した場合,腫瘍のheterogeneityによる転移巣か,あるいは多発肺癌か,その診断と治療に苦慮する.症例.63歳女性.健康診断で右肺野腫瘤影を指摘され当院を受診した.上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性肺腺癌IV期と診断した.ゲフィチニブを開始し奏効した.一方,炎症後変化と考えていた左肺下葉の結節影が増大し,EGFR遺伝子変異陰性肺腺癌と診断された.ゲフィチニブを中止し,カルボプラチン+パクリタキセル併用化学療法を開始した.左肺病変は縮小したが右肺病変が増大した.そのため化学療法を継続したままゲフィチニブを再開した.右肺病変は再度縮...
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Veröffentlicht in: | 肺癌 2018/04/20, Vol.58(2), pp.127-131 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景.2つの病変に分子標的薬が全く異なった効果を示した場合,腫瘍のheterogeneityによる転移巣か,あるいは多発肺癌か,その診断と治療に苦慮する.症例.63歳女性.健康診断で右肺野腫瘤影を指摘され当院を受診した.上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性肺腺癌IV期と診断した.ゲフィチニブを開始し奏効した.一方,炎症後変化と考えていた左肺下葉の結節影が増大し,EGFR遺伝子変異陰性肺腺癌と診断された.ゲフィチニブを中止し,カルボプラチン+パクリタキセル併用化学療法を開始した.左肺病変は縮小したが右肺病変が増大した.そのため化学療法を継続したままゲフィチニブを再開した.右肺病変は再度縮小した.6コースのカルボプラチン+パクリタキセル併用療法後,左肺病変のみが再増大したため,ペメトレキセド単剤療法に変更し,一時的に効果を認めた.ゲフィチニブ併用投与による有害事象の増強は認めなかった.結論.腫瘍のheterogeneityによる転移巣か多発肺癌かは確定できなかったが,EGFRチロシンキナーゼ阻害剤と細胞障害性抗癌剤を併用投与し,有害事象の増強なく両腫瘍に縮小効果が認められた. |
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ISSN: | 0386-9628 1348-9992 |
DOI: | 10.2482/haigan.58.127 |