脳転移再発に対して定位放射線照射施行後9年間完全寛解が維持されている小細胞肺癌の1例

背景.小細胞肺癌は容易に遠隔転移を来し,限局型でも約50%が経過中に脳転移を認める.小細胞肺癌による転移性脳腫瘍には全脳照射が推奨されているが,近年全脳照射による神経毒性が指摘されている.このような問題なく高率に脳転移を制御できる定位放射線照射の有用性が様々な癌種で報告されているが,小細胞肺癌における定位放射線照射の臨床的意義は明らかではない.症例.初診時75歳男性.限局型小細胞肺癌(cT2N2M0)としてシスプラチン/エトポシド併用下に放射線照射(45 Gy/30 Fr)を行った.4コース終了時点で肺野/縦隔病変の消退を確認したが,同時期に行った脳MRIで右小脳半球に長径約5 mm大の孤立性...

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Veröffentlicht in:肺癌 2017/10/20, Vol.57(6), pp.775-780
Hauptverfasser: 角谷, 拓哉, 小澤, 雄一, 長谷川, 浩嗣, 松井, 隆, 横村, 光司, 須田, 隆文
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景.小細胞肺癌は容易に遠隔転移を来し,限局型でも約50%が経過中に脳転移を認める.小細胞肺癌による転移性脳腫瘍には全脳照射が推奨されているが,近年全脳照射による神経毒性が指摘されている.このような問題なく高率に脳転移を制御できる定位放射線照射の有用性が様々な癌種で報告されているが,小細胞肺癌における定位放射線照射の臨床的意義は明らかではない.症例.初診時75歳男性.限局型小細胞肺癌(cT2N2M0)としてシスプラチン/エトポシド併用下に放射線照射(45 Gy/30 Fr)を行った.4コース終了時点で肺野/縦隔病変の消退を確認したが,同時期に行った脳MRIで右小脳半球に長径約5 mm大の孤立性結節が認められ,脳転移による再発と判断した.γナイフによる定位放射線照射(40 Gy/1 Fr)を行い,3ヵ月後には同病変の消失が確認され完全寛解となった.全脳への追加照射は行わず,5年間は3ヵ月毎,その後は6ヵ月毎に脳MRIによる定期評価を行ったが,9年間再発なく経過している.結論.小細胞肺癌による脳転移においても,定位放射線照射単独で長期間制御可能な症例群が存在することが示唆された.
ISSN:0386-9628
1348-9992
DOI:10.2482/haigan.57.775